研究課題/領域番号 |
26520109
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研究機関 | 桜の聖母短期大学 |
研究代表者 |
田中 大介 桜の聖母短期大学, その他部局等, 教授 (20634281)
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研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2017-03-31
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キーワード | ライフエンディング / フィールドワーク / 多職種連携 |
研究実績の概要 |
本研究はわが国におけるライフエンディング、すなわち「人生の終末、および近親者との死別に備える準備行動」を題材として、その円滑で効果的な支援に向けた多職種連携のありかたを探る政策提案型研究である。今日のライフエンディングをめぐる諸々の困難は、少子高齢化の加速と連動して喫緊の社会問題となっているものの、その社会-文化的な淵源までを包摂し、ライフエンディングに関連する各種の現場を焦点化した研究が充分に展開されているとは言い難い。これに対して申請者は、主に文化人類学の知見と手法を用いて現代におけるライフエンディングの多様性・多元性と、それに対応する望ましいサービスの支援環境を探究し、超高齢社会に呼応した「老いて、死ぬ」プロセスをめぐる課題を焙り出すことを目指して、計3年度の期間内で中間年度に当たる2015年度の作業を展開した。 2015年度においては、主に「フェーズⅢ」ならびに「フェーズⅣ」として申請時に策定された調査を重点的に展開し、合わせて最終的な成果となるエスノグラフィの内容検討を開始している。加えて、中間的な成果発表として論文等の刊行も実施した。一方、当初の計画において島嶼部の調査地に設定していた島根県隠岐郡隠岐の島町については、現地調査の受入が先方側事情により困難となるに至り、他の調査地に振り分ける対応を行った。この対応によって研究計画の内容及び進捗そのものに大きな影響はないが、最終年度にあたる2016年度においても隠岐の島町における調査に関しては適宜その機会を探ることとしている。 以上のとおり、全般的に当初計画通りの研究を進捗させ、所期の成果を果たすことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度の作業については、初年度にあたる2014年度に実施した調査折衝や文献資料等の調査、および第一次フィールドワークの蓄積を土台として、おおむね順調に進展した。また、文献・資料・統計などの精査についても計画通りの成果を挙げることができたが、2014年度と同様に、2015年度も主として文献の精査に関しては次年度以降に持ち越すものが生じており、この点については最終年度の2016年度に期すこととしたい。 また、インタビューならびにフィールドワークを中心とした実地調査に関しては、ライフエンディングの実践に関与する多様な関係者から重厚な情報を収集するだけでなく、今日における社会的な傾向の摂取と、超高齢社会に即した理想的スキームの模索を目論んだため、その現場に関与する者だけでなく他研究者との情報交換にも注力した。尚、部分的ではあるが、速やかな成果の社会的還元と、多方面の研究者・関係者からの吟味と検証を仰ぐことを期して、研究成果を論稿類として刊行することも実施できた。 以上のとおり、2015年度については最終年度の2016年度に向けた作業を十分に展開することができたと同時に、本研究終了後の新たな課題に向けての発想も形づくることができた点で、着実な成果をうみだしたと思料される。
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今後の研究の推進方策 |
すでに上欄で述べたとおり、いくつかの調査地については当初の研究計画から変更をせざるを得ないものが出てきているが、全体的な焦点と作業内容については大きな方針変更の必要性は認められず、研究期間の最終年度となる2016年度も当初計画の予定通りの作業を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度の物品費において見込んでいた関連研究文献についての購入を、実地調査の情報摂取を優先させたことにより見合わせたため。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度に見込んでいた関連研究文献の購入は、2016年度にそのままスライドさせて使用する予定である。
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