研究課題/領域番号 |
26520204
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
神谷 淳 山形大学, 理工学研究科, 教授 (00224668)
|
研究分担者 |
齋藤 歩 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (20400533)
三浦 毅 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90333989)
|
研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2017-03-31
|
キーワード | メッシュレス法 / Krylov部分空間法 / 拘束条件付き連立1次方程式 / 形状関数 |
研究実績の概要 |
筆者等による先駆的研究によれば,楕円型境界値問題に完全メッシュレス法を適用した場合,現れる連立1次方程式がもつ係数行列の代数的構造は部分的メッシュレス法を適用した場合と酷似している.それ故,完全メッシュレス法を高速化するためには,部分的メッシュレス法を高速化する技術を確立すれば十分である.この意味から,平成27年度は,部分的メッシュレス法を用いた際に現れる連立1次方程式の高速解法を提案した. 楕円型境界値問題に部分的メッシュレス法を適用すると,拘束条件付き連立1次方程式が得られる.同連立1次方程式はGMRES, GCR等のKrylov部分空間法を用いて解くことができるが,拘束条件数の増加に伴い,ソルバーの収束特性は著しく劣化する.この問題を解決するため,平成27年度の研究では,拘束条件付き連立1次方程式と等価な方程式を導くことに成功した.具体的には,拘束条件行列CをQR分解した後,部分空間span(Q)とその直交補空間を用いて,拘束条件付き連立1次方程式から拘束条件を完全に消去する.その結果として得られる方程式の変数は,元の方程式と比べて拘束条件の数だけ低減される. 提案法を部分的メッシュレス法に適用することにより,その性能を調べた.その結果,従来法と比べて,提案法は少ない反復回数で解が得られることが判明した.さらに,提案法の収束特性は拘束条件数に影響されないことも分かった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初,本研究課題の平成27年度計画は次のようになっていた.平成26年度の成果を用いて,3次元ポテンシャル問題解析用完全メッシュレス・コードを開発した後,完全メッシュレス法(完全メッシュレスFNMと完全メッシュレスBNM)の高精度化を目指す.具体的には,次の2つを完成させる.1)完全メッシュレスBNMの精度を改善する手法としては,特異積分方程式を支配方程式として解き,超特異積分方程式の残差によって精度を評価するアダプティブ法を拡張する.2)完全メッシュレスFNMを精度向上させる手法としては,アダプティブ法と境界積分の精度改善が行われる. 現在までに,2)は完了したのに対して,1)は研究計画とは異なる方向に向かっている.具体的には,完全メッシュレスFNMによる離散化から得られる拘束条件付き連立1次方程式の数値解法を新たに開発することに成功し,その高性能性を数値的に実証した.これまで,拘束条件付き連立1次方程式にKrylov部分空間法を適用する手法として効果的な方法は知られていなかった.この意味では,当初計画通りではないが,本年度に大きな進展を遂げたと言える.
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度に引き続いて,今後は,①完全メッシュレス法の高精度化,②完全メッシュレス法の工学的諸問題への応用,というステップを遂行することによって,完全メッシュレス法の高性能化フェーズと工学的実証フェーズを完成させる. ①では,完全メッシュレスFNMと完全メッシュレスBNMの高精度化を担当する.特に,完全メッシュレスBNMの精度を改善する手法としては,特異積分方程式を支配方程式として解き,超特異積分方程式の残差によって精度を評価するアダプティブ法を拡張する. ②では,これまで有限要素法,境界要素法が重要な役割を演じてきた工学的応用分野に完全メッシュレス法を適用することによって,その有効性を数値的に実証する.それ故,3次元構造解析と3次元電磁界解析の2つのテーマに対する完全メッシュレス・コードを開発し,商用有限要素コードのNASTRANやJ-MAGの解析結果と比較検討することによって,完全メッシュレス・コードの性能評価を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度に,マザーボード,CPU等のPCクラスター構成部品を更新することを予定していたが,同費用を他研究費より工面したため,次年度への繰越額が発生した.
|
次年度使用額の使用計画 |
・Miamiで開催される国際会議CEFC2016への出張旅費と参加登録費に使用する. ・昨年度発表した論文の投稿料金と別刷り代金にも使用する. ・グラフ作成用アプリケーションの購入代金にも使用する.
|