• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

植物表皮細胞壁のジグソーパズル構造形成メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 26520207
研究機関九州大学

研究代表者

今村 寿子 (滝川寿子)  九州大学, 医学研究院, 助教 (30523790)

研究期間 (年度) 2014-07-18 – 2017-03-31
キーワード数理モデル / 葉表皮細胞 / 形態形成 / 座屈 / 植物細胞壁 / シロイヌナズナ
研究実績の概要

シロイヌナズナの葉表皮細胞がジグソーパズル状に変形するメカニズムについて、数理モデルをより現実的なものに発展させた。細胞の局所的成長を制御するROP GTPaseの機能をモデルに組み込み、2種のROPが、相互抑制により細胞壁の両側に背中合わせに分布し、隣接する細胞のどちら側に突出が起こるかが決まる様子の表現に成功した。一方、連携研究者の観察から、ROPの局在化を司るric1の機能欠失変異株でも細胞変形が起きることが観察され、従来のROP機能を軸としたメカニズムでは説明できないことが明らかとなってきた。本モデルでは、ROPの局在化が見られない場合にも、細胞壁の成長による座屈として細胞変形が起きることを予測しており、ric1変異株での表現型を説明すると共に、座屈が細胞変形の根本原理になりうる可能性を示唆した。また表層微小管の配向に応じて細胞の異方成長が促進された場合には、細胞壁の湾曲程度が減じることも再現できた。この研究成果はPlant Cell Physiol.誌に発表した。
上述の成果において、湾曲の波長は、野生株ではROPの局在により決定し、ric1機能欠損株では細胞の力学的特性により決まる。実際には、ROPの相互抑制と細胞変形とが相互作用しあいながら決定すると考えられる。そこで、細胞壁を反応拡散場とし、場の変形と相互作用によりROP2とROP6の分布が変化することを表現した改変モデルに取り組んだ。これにより、細胞形状が多角形を示す成長初期にはROP分布の波長が短く、成長と共に波長が長く変化していくことや、様々な変異株の細胞形状を説明することができる。今後各パラメータがどのように湾曲パターンを変化させるか詳細に調べていく。
本研究課題で構築した数理モデルのフレームワークを応用して、葉表面の隆起や茎の変形、根毛の形状変化を説明するモデルを構築しており、論文執筆中である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Exogenous cellulase switches cell interdigitation to cell elongation in an ric1-dependent manner in Arabidopsis thaliana cotyledon pavement cells2017

    • 著者名/発表者名
      Higaki T, Takigawa-Imamura H, Akita K, Kutsuna N, Kobayashi R, Hasezawa S, Miura T
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology

      巻: 58 ページ: 106-119

    • DOI

      10.1093/pcp/pcw183

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Modulation of apical constriction by Wnt signal is required for the lung epithelial shape transition2017

    • 著者名/発表者名
      Fumoto K, Takigawa-Imamura H, Sumiyama K, Kaneiwa T, Kikuchi A
    • 雑誌名

      Development

      巻: 144 ページ: 151-162

    • DOI

      10.1242/dev.141325

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Emergence of hierarchical structure of lung: a model and observation of cellular response to FGF2016

    • 著者名/発表者名
      Hisako Takigawa-Imamura
    • 学会等名
      2016年日本数理生物学会年会
    • 発表場所
      九州大学(福岡市)
    • 年月日
      2016-09-07 – 2016-09-08

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi