研究課題
ディオファントス方程式と,単射写像で移した後の方程式の整数解の情報を公開鍵として与えるとき,それに基づく鍵交換プロトコルの原型が,研究代表者とA. Pethoら により2010年から2013年にかけての研究として出版された.本研究課題ではこれらが実際の暗号技術として使われるために欠かせない基本原理の発展を目的としている.平文と暗号文の間の全単射変換を考え,単射の像に対し逆変換を施して,もとの平文を構成可能とする方法を研究するのであるが,逆変換が求まらなければ暗号文を解読することはできない.またあまり簡単に解読されることは暗号にとっては致命的な欠陥となる.研究代表者は,研究協力者である秋山浩一郎氏と協議して,上記の発展形としての新しい全単射変換を提案した.標数ゼロの体係数のディオファントス方程式の求解困難性と両立する全単射変換であり,基本構想の概要がまとまった処である.現在は安全性証明をおこなっている.またこのような方程式を標数ゼロの体係数ではなく正標数の有限体係数で考えることができるかどうか,氏と共に考察中である.構築した暗号原理に関しては安全証明の後に,専門家の集まる関連学会で発表する予定である.さらに,線形回帰数列を底とする指数型ディオファントス方程式の整数解の決定理論とも関連があり,その考察をおこない,F. Lucaとの共同研究論文として発表した.なお,この研究の際に得られた知見の解析の際に,ディオファントス近似の数値計算および整数で整数に近い値を取る一変数関数論への応用に気づくことができたため,その結果を古津博俊氏と共同の「Conditions of an analytic function to be a polynomial via Diophantine approximations」という論文にまとめて投稿した.
2: おおむね順調に進展している
平成27年度には企業の研究者1名を研究協力者として依頼し,当該研究により提案される暗号の基本原理の安全性証明を分担してもらった.標数0の場合と正標数の場合の両方の考察を進めたが,特に標数0の場合に一つの方法を提案することができた.現在,論文としてまとめている.念を入れた安全性保証を多方面からおこなっているために論文執筆に少し時間がかかっているが,おおむね順調に進んでいる.
国内の企業の研究者のみならず,海外研究協力者との研究討議を進めたい.ハンガリーのButapest工科大学の T. Lality-Kovacs氏およびDebrecen大学のA. Petho氏に,高種数を持つディオファントス方程式の有限個の整数解全てを求める作業の参画を依頼する予定である.高種数の場合は整数解の計算が格段に難しくなるため,計算能力の高い T. Lality-Kovacs氏の研究協力を特に要請したい.この計算の依頼および共同研究の準備は既に始めている.
すべて 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Rocky Mountain Journal of Mathematics
巻: vol. 45, no. 2 ページ: 509-538
10.1216/RMJ-2015-45-2-509
http://trout.math.cst.nihon-u.ac.jp/~hirata/
https://projecteuclid.org/euclid.rmjm/1434208478#ui-tabs-1