研究課題/領域番号 |
26520306
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
廣岡 博之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60192720)
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研究分担者 |
稲村 達也 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00263129)
熊谷 元 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50221940)
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研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2017-03-31
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キーワード | ウシ / 食料製造副産物 / 窒素 / リン / メタン / モデル |
研究実績の概要 |
本年度は、第一に食料循環のための飼料として、ワイン発酵澱、豆腐粕、醤油粕、ポテト加工残渣や麺類規格外品などの飼料価値を調べ、特に、ワイン発酵澱にはポリフェノールが多量に含まれていることを明らかにした。また、これらの食料製造副産物は、他の飼料の代替えとして利用できることを示すことができた。 第二に、全国規模の視点から、1頭1年あたりの肉牛および乳牛の飼料別の可消化養分総量(TDN)、粗蛋白質(CP)、乾物(DM)要求量の算出手法を検討した。肉牛および乳牛を、飼養目的別に乳用種雌牛、乳用種去勢牛、交雑種、黒毛和種肥育牛、黒毛和種繁殖牛に分類した。畜産物生産費報告から1頭1年あたりの飼料別および総TDN給与量、飼料給与割合を算出した。次に、1頭1年あたりのTDN要求量の平均値と総TDN給与量を比較し、またTDN要求量平均値に飼料給与割合を乗ずることで、1頭1年あたりの飼料別TDN 要求量を算出した。さらにその値と飼料成分表の値を用いて、1頭1年あたりの飼料別CPおよびDM要求量を算出した。その結果、算出した1頭1年あたりのTDN要求量平均値は、他の文献値と比較しても妥当な数値であった。 第三に肉および乳生産から発生する環境負荷物質排出量の推定を行った。用いたモデルでは、飼料のエネルギー要求量、乾物摂取量、粗蛋白質要求量を1頭あたりで算出するよう設定した。糞尿中に含まれる窒素量は粗蛋白質の摂取量から体蓄積量を引くことで推定した。メタンに関しては、乾物摂取量を用いた算定式から推定した。さらに、1頭当たりで得られた数値に全国の各畜種の飼養頭数をモデルにより推定した結果に掛け合わせることで、日本全体における環境負荷物質排出量の推定を行った。その結果、肉牛および酪農生産における、排泄物由来の窒素および温室効果ガスは全国規模でそれぞれ年間約20万トンと約25万トンと推定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は農家レベルでのモデル開発に最初に行う予定であったが、なかなか適当な農家が見つからず、さきに全国規模のデータ分析とモデル開発に取り組むことにした。また、政策提言に関しては、前例がなく、手探り状態でなかなか方法論の開発が進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、窒素とリンの排泄及びメタン発生などの環境負荷と経済性に関するトレードオフを探る方法を確立し、また、食料循環政策の提言のための方法論の確立を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、ウシを用いた実験での多額の出費を予想していたが、他の競争的資金で補充できた。
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次年度使用額の使用計画 |
得られた研究成果を海外の学会で多く発表する予定である。
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