研究課題/領域番号 |
26520307
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大木 出 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (80418574)
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研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2017-03-31
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キーワード | 植物 / 構造生物学 / 植物ホルモン / 花成 / 育種 / フロリゲン |
研究実績の概要 |
フロリゲンは2007年に発見されたばかりであり、現在フロリゲンの生物学はいまだ黎明期と言える。その分子機能、作用メカニズム、植物改良へ応用の可能性、など多くの重要な分野が未開拓のままである。本研究においては、フロリゲンの分子機能の解明、及びフロリゲンの植物改良への展開に集中し、次の3つのテーマ、1)フロリゲンと花成リプレッサーによる花成制御の分子機構の解明、2)分子機能に基づく人工フロリゲンの開発と大量調整法の確立、3)外部からの植物への導入技術開発と育種高速化技術への展開、に分けて研究を進め、フロリゲンに関する新しい重要な知見と応用技術を得ることを目的としている。 今年度は、テーマ1)のフロリゲンと花成リプレッサーによる花成制御の分子機構の解明と、テーマ2)の分子機能に基づく人工フロリゲン開発を進めている。これまで行ってきたフロリゲン、フロリゲン受容体、花成転写因子からなる「フロリゲン活性化複合体」の解析に加え、フロリゲンと逆の機能を持つ花成リプレッサーを含む「フロリゲン抑制複合体」の機能構造解析を進め、両複合体の分子構造を決定した。得られた二者の分子構造に基づき、受容体との結合部位や表面残基に改変を行い、開花能や安定性を増強させたフロリゲン(人工フロリゲン)の設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は花成リプレッサーを含むフロリゲン転写抑制複合体の解析を行い立体構造を決定し、また、フロリゲン活性化複合体と抑制複合体の分子交換メカニズムの解明にも成功した。これらにより、ほぼ研究実施計画書とおりの成果を上げることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、得られた花成抑制複合体の立体構造と分子交換メカニズムを基に、受容体との結合部位や表面残基に改変を行い、開花能や安定性を増強させたフロリゲン(人工フロリゲン)の設計・大量調整、植物体への外部からの導入を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中で所属組織の異動があり、異動先での次年度の実験継続に必要な装置(植物栽培用装置)、試薬類の準備のために繰越しを行った。年度中に関しては前所属及び現所属組織の実験装置を使用し、実験計画どおりの研究執行を行った。
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次年度使用額の使用計画 |
実施研究計画に変更はない。次年度の異動先組織においても研究執行計画に変更が起きないよう、前所属と同様の実験環境を立ち上げるために次年度への繰越しを行っている。
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