葉群三次元構造の時間変化を知るためには,森林を構成する樹木個体の枝・葉の成長・枯死消失確率ならびに,個体そのもの死亡確率を解明する研究を進捗させた.Sumida et al. (2013) が公開した論文に付録された電子ファイルによって,名古屋大学稲武フィールドにおいて観測された20年間の葉群構造が公開されており,このデータにもとづいて樹木の成長・衰亡に関する統計モデリングが可能となった.この樹木個体の配列がが森林内の三次元光分布に与える影響を調べるために,OpenGL をつかって森林の幹・葉群の三次元モデルを構成し,これにもとづいて林内の三次元光分布を評価する方法を開発した.これによって個体内でも上部の葉群が下部の葉群を被陰する個体内競争も重要な過程について検証することができるようになった. 個体内・個体間の資源争奪競争が,樹木個体内の部品 (モジュール) の三次元配置を変化させるだけでなく,樹木個体の死亡確率も変化させることを指摘している.樹木個体の成長に関する経時的な統計モデルについて解明する必要があり,鍋島他が取得した年輪データを解析する統計モデルを作り,樹木の年齢・サイズ・気温など外的環境といった要因が直径成長に与える影響を解明した.国際学術誌に発表した. これらの諸過程を党系モデル化することによって,長期間にわたる生態学的観測データにもとづいて樹木内部の成長・衰亡過程について樹木個体内における資源再分配・枝の脱落モデル・個体の死亡確率などについてパラメーター推定をしつつある.これらの結果をまとめて国際学術誌に論文を投稿する予定である.
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