研究課題
本年度は室内型の位置推定の問題を2種類のデータを用いてアルゴリズム開発を行った.1つはToA (Time of Arrival),他方はRSS (Received Signal Strength )である.これまでは,ステーションからタグまでの距離データの分布として,正の分布を仮定しこれを極座標変換することによって,x-y平面の2次元分布を導出した.この2次元分布同時分布から尤度関数を導出し,最適化を図ることによって,位置パラメータを推定するアルゴリズムを提案してきた.2次元の同時分布はステーションからの距離の情報しかなく,密度の大きさがステーションを中心として同心円状の分布として得られる.位置推定における問題は,分布パラメータにおける位置パラメータの推定の問題と同様な難しさがあり,これを補うために,2段階の推定法によって高速にパラメータ推定を行う方法を開発した.そのため,信頼水準の構成が煩雑となるが,陰関数定理を用いることによりこの問題を克服している.また,販社電波を検出するために,正のバイアスが入ってしまうことが知られており,この問題に対しても,ガンマ回帰を利用してバイアス修正を行うことで,推定精度のよいアルゴリズムとしている.また,RSSのデータに対しては,対数正規分布を仮定した解析も行い.論文として公表している.
2: おおむね順調に進展している
ToAデータ,RSSデータという2種類のデータに対して,位置推定のアルゴリズも開発を行い,予備的な実験では十分な精度を得ている.
最終年度として,これまでの研究成果を総合的に検討し,正の分布をベースとした.回転分布の分布特性を検討する.また,バイアス修正にはガンマ回帰を用いたアルゴリズムを提案してきたが,システムを導入する部屋ごとに予備実験を必要とし,工数がかかってしまうので,実用的には,真のバイアスは観測しないで,ベイズ的な意味でヒストリカルなデータ蓄積により,バイアス修正を行うアルゴリズムの開発を行う必要がある.これまでの2次元分布では方向性を持たない回転分布に基づいて推定論を組み立ててきたが,実際には部屋の形状や,タグから壁までの距離に大きく依存することがわかっているので,位置を同定する際に,リカーシブに壁からの距離を考慮に入れて,非対称な分布に変更するというセミパラメトリックなモデルも考えて,より有効な統計的アルゴリズムを開発する必要がある.最終年度にどもまで新しいことができるか,わからないが,これまでのアルゴリズムを精緻化させ,国際会議等で公表していくとともに,新しい問題に対しても,その問題点を整理し,実用レベルとして精度を高める研究を行う計画である.特にToAデータについては,,2段階かつ真のバイアス計測を伴っているので,全データの活用のアルゴリズムについても検討していくことを考えている.
研究は予定通り進んだが,設備品等の更新の必要がなかったので,既存の者で研究が進んだこと,人権時についても,データの取得実験が昨年のものを利用,アルゴリズム開発を行ったことが主な理由である.
今年度は,昨年度の使用分を含めて,昨年度開発したアルゴリズの検証を目的としたデータ取りのための人件費,また,最終年における国際会議における発表のための旅費として使用を計画している.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件)
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