研究課題/領域番号 |
26540019
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 幸紀 北陸先端科学技術大学院大学, 情報社会基盤研究センター, 助教 (30452113)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アクセラレーション / カスタムコンピューティング / ビッグデータ / ハード・ソフト強調設計 / データ局所性 |
研究実績の概要 |
H26年度は、プログラムの実行時の詳細なデータフロー解析と操作的意味の探究を実施する上で基盤となるツールの開発を重点的に実施した。データ処理をおこなうアプリケーションプログラムの実行トレースからデータの流れと共にデータアロケーションやデータ構造に関する情報を抽出する機構については研究代表者のグループにて開発を進めてきたExanaツールを拡張する形で実装を進め、実行時に透過的にデータアクセスのタイミングの出力やデータレイアウトに関する基本的な情報が得られることを確認した。 加えて、FPGAアクセラレータ上でのデータの移動を可能な限り最小化する設計の検討を行った。データフロープロファイリングの結果を参考にしつつ、データ局所性を最大限に活用するようにFPGAで実行するカーネル部分にブロッキング(ループタイリング)を実施することによりFPGA内のオンチップBRAMやフリップフロップの構成および演算パイプライン構成をカスタマイズする設計空間が広がるとの仮説を導き出した。本仮説を実証するために、HPC分野で広く使われている姫野ベンチマークを題材に大小さまざまなデータセットでのメモリ階層を主体としたカスタマイズをおこなう実装を進めた。 ツール及びFPGAへの実装に加えて、パイプライン構造のカスタマイズとビッグデータ処理の親和性を広く調査するために7月にImperial College Londonを訪問し、深い研究議論を行った。また、ビッグデータ処理の波及効果を調査するために10月に開催したJACORN2014において全員参加パネルディスカッション「ビッグデータと私」を企画し、FPGAによるアクセラレーションが期待されるデータ処理分野の動向を深く議論すると同時に本研究を進める上で有用となるアプリケーション分野の方向性の知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小規模なベンチマークについてカスタマイズの様々なシナリオに対応する構成をFPGAに実装することを完了させ、最良値を探索し最適化する手法の開発を行う計画であったが、詳細なデータフロー解析と操作的意味の探究を実施する上で基盤となるツールの開発を実施する過程で時系列変化を把握する手法にさらなる工夫が必要との知見が得られたため、ツールの開発に注力することにした。これにより、計画していた最良値の探索についての評価を完了することができなかった。加えて、該当分野の動向を調査することをH26年度に集中的に行ったため計画していたアクセラレータ搭載サーバの整備をH27年度に見送り、H26年度は既設のアクセラレータでの開発を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度に引き続き、ツールの開発を最優先に取り組む予定である。また、H27年度にアクセラレータ搭載サーバの整備を進める予定であり、本設備を用いたプロトタイプの開発によりカスタマイズにおける最良値の探索についての評価を円滑かつ効果的に進めることができる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
該当分野の動向を調査することをH26年度に集中的に実施し、計画していたアクセラレータ搭載サーバの整備をH27年度に見送ったため生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初計画でH27年度に予定していた研究資料収集を前倒しして実施できたため旅費として計上していた分を合算し、アクセラレータ搭載サーバの整備のための物品購入に使用する。
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