Top-k検索は、検索条件から計算されるスコアに対して上位k個のデータを収集する検索であり、一般にアドホックネットワークでは検索条件をネットワーク全体に配布し、データを所持する端末が自身が持つ上位k個のデータを返信することで実現される。この際に、ネットワーク内に複数の攻撃端末が存在し、それらが検索結果に入るべきデータを別のデータ(自身がもつスコアの低いデータ)に差し替えると、検索精度が低下してしまう。そのため、本研究ではこのような攻撃により検索程度が低下する問題を抑止するとともに、攻撃者を効率的に同定することを目的として研究開発を実施した。 まず、初年度は、複数の攻撃端末が存在するアドホックネットワーク環境において、2つの経路を用いてデータを返信することで、概ね検索精度を維持できることを確認し、2つの返信経路を用いたTop-k検索手法と攻撃端末同定手法を設計した。さらに計画を前倒しし、2年目に実施予定であった「協調処理による攻撃端末の同定」についても、基礎的な研究を行った。 最終年度の今年度は、「協調処理による攻撃端末の同定」についてさらに研究を進め、具体的な手法の考案とシミュレーション実験による性能評価を行った。また、各モバイル端末が検索処理時に交換するメッセージのセキュリティをさらに強固にし、根本的に攻撃を受けにくくすることを目的として、認証子を用いた検索手法について研究開発を実施した。これらの研究成果は、国際的に著名な論文誌や、分散システムの信頼性に関して最も権威のある国際会議に採択され公表されるなど、国内外で高く評価されている。
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