研究実績の概要 |
本研究では,位置に基づくソーシャルネットワーク(Location-based Social Network, LBSN)において意味的な情報が重要となってきたことを受け,意味情報を取り込むための技術を活用することを一つの目的とした.また,LBSNの実現において重要な役割を果たすイベント処理技術についても着目し,意味的な複合イベント処理技術についても研究した.具体的な研究内容は以下のとおりである. 1) LBSNを支援するためのオントロジおよびその活用技術の開発:移動するユーザの行動情報を適切に認識するには,行動に関してその応用ドメインで成り立っている基本概念を整理し,コンピュータ上で活用できるようにしなければならない.そのため本研究では,位置情報を活用した行動分析のシナリオの下でオントロジを構築した.また,セマンティックWeb技術を用いて,問合せ等の利活用を図る手法を開発した. 2) 意味的な移動軌跡データのマイニングおよび利活用の技術の開発:GPSの普及により,膨大な移動軌跡が入手可能となってきているが,近年,単なる点データの列ではなく,さまざまな情報を付与した意味的な移動軌跡を考えようという研究が注目されている.本研究では,クラスタリングなどのマイニング技術を活用して意味的な移動軌跡の抽出を行う手法を開発した.このように抽出された意味的な移動軌跡情報を1)の研究と連携して活用することが考えられる. 3) 意味的な複合イベント処理技術の開発:LBSNの実現では,イベント処理が重要な要素技術となる.従来のイベント処理においては,個々のイベント自体は単純なものであったが,意味的な情報を導入すると,より複雑な意味情報の組合せによる複合的イベントの処理が必要となる.そのため,本研究ではEvent Calculusに基づく複合イベント処理について研究を行った.
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