研究課題/領域番号 |
26540046
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山名 早人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40230502)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ユーザインタフェース / オンライン手書きデータ / データマイニング / つまずき解析 / ビッグデータ分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、電子ペンや教育における電子化が推進される中、「学習つまずき」をオンライン手書きデータ(時系列で得られる手書きデータ)から自動的に発見する手法を研究し、以って近い将来実現するであろう効果的な個別学習の実現に供することを目指している。
平成26年度は、デジタルペンを用いたオンライン手書きデータの収集(10名~100名程度)、データの手動による分類(つまずきの有無)、つまずきの発見手法の検討を当初の計画とした。
データ収集においては、より実践的なデータを収集すべく本学の講義を対象として、講義中の課題に対する回答として20名からオンライン手書きデータを取得することができた。次につまずきの発見に関しては、つまずきを「記憶に依存するつまずき」と「それ以外のつまずき」に分類した上で、まず「記憶に依存するつまずき」の解析を進めた。具体的には、暗記学習において忘却せずに再生可能となるように記憶を定着させることを実現するための仕組みの考案とモデル化を行った。モデル化においては、未記憶、主観定着(自分では記憶していると判断している記憶)、主観未定着(自分では記憶できていないと判断している記憶)に分類し、主観定着の中で記憶できていないものを自動的に抽出する手法を検討した。その結果、オンライン手書きデータから得られる特徴量の内、「筆圧」「ストロークスピードの分散」「筆記時間」「筆記開始までの時間」といったパラメータが重要な判断材料になることを発見した。この知見に基づいたシステムを構築すると共に、新しい評価手法を提案した。さらに、手書きデータとその美しさがどのようにつまずきに影響するかについて調査を行うために、手書きデータの美しさに関するモデル化を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り手書きデータを取得(20名)し、つまずき検出の検討を行うことができているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度までの成果をベースとし、平成26年に取得した手書きデータから、つまずきを発見するためのシステムを構築することを目指す。特に、記憶に基づくつまずきについての検討だけでなく、記憶以外を理由とするつまずきについて検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集に用いるデジタルペンの購入がメーカ側の都合により遅れたため。また、本研究申請時に比較し大幅に予算削減がさなれており、2年を通じて均等に研究費を配分し研究を進めることを考えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究成果を踏まえ、デジタルペンでのデータ収集解析を行っている国際的な拠点を訪問し意見交換を行い、以て、本研究成果を世界に発信するために利用する。さらに当初予定通り、解析のための計算機購入に充てる。
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