研究課題/領域番号 |
26540047
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
川越 恭二 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (40298724)
|
研究分担者 |
佐久間 春夫 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (10128572)
坪 泰宏 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (40384721)
山西 良典 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (50700522)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 音楽検索 / 脳波利用 / 心理状態検出 / 歌詞 / 感性的検索 / スポーツ応用 / メンタルトレーニング |
研究実績の概要 |
本研究の最終目標である「利用者の頭に浮かべたメロディを脳波により入力し、そのメロディに関連し利用者の現在の状況に適合した楽曲を音楽データベースから検索し、利用者への適応的再生を可能とする音楽検索技術の実現」を目指して、本研究では、1)脳内想起メロディに関する脳波データ記述方法2)利用者の感性的に適した楽曲の検索方式、3)スポーツ選手対象の音楽検索によるメンタルトレーニング支援への適用を行っている。 初年度である今年度には、萌芽研究の第一歩であるため基礎的研究に特化して研究を進めた。 まず、脳内想起メロディに関する脳波データ記述方法について、利用者が想起した3種類の心理状態の検出のための記述方法に関する基礎研究を行った。その結果、心理状態検出に適した心理状態想起法および前額部導出電位データの集約化および特徴ベクトルが明らかとなった。脳波からの感性的楽曲検索方式の開発に関しては、基礎的研究として、音楽歌詞からの全体的楽曲印象および印象的フレーズの抽出を行う基本方式を導出した。これにより、脳波からの感性的音楽検索実現のために不可欠な歌詞による感性的音楽検索の部分方式を導出することができた。さらに、メンタルトレーニング支援に向けて、音楽聴取時の作業効率を脳波、心理テスト等の多角的実験を行い、その結果を分析した。この分析結果から、音楽選曲が作業に与える具体的影響の明確化と同時にいくつかの課題も明らかになった。上記の研究において、脳情報処理技術の視点から結果の意味を考察することで、導出方法の妥当性の検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は萌芽研究であるため、研究内容に関する議論を数多く行うことが必須である。このため、研究代表者、共同研究者、研究協力者(大学院生等)により定例(1か月に一度)の研究ミーティングを実施している。ミーティングでは、研究方向、アイデア創出、研究方法、研究経過、研究成果、論文内容、研究計画等に関して毎回活発な議論を行っている。このような研究運営により、着実に研究活動を行うことができている。これにより計画通り進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2015年度は、前年度の成果を踏まえて、下記の研究項目を実施する。まず、脳内想起メロディに関する脳波データの記述方法については、開発した記述方法を用いて脳内想起メロディ(心理状態)抽出精度の測定を行う。抽出精度測定により精度向上に必要な視点および課題を明らかにする。次に、脳波からの感性的楽曲検索方式については、感性的音楽検索システムの部分試作を行い、簡易評価を行う。さらに、スポーツ選手対象の音楽検索によるメンタルトレーニング支緩評価環境を構築し、様々な視点での評価を可能とする。そして、研究を進める中で、脳神経情報科学の視点からの楽曲検索方法妥当性評価やシステム評価および改良点の指摘を行う。
2014年度終了時点での課題と対応について述べる。脳波データ記述方法のモデルに関して当初は文字近似法を採用する予定であったが、本研究が萌芽研究であることからより基礎的検討を重視し、3種類の心理状態検出のための脳波データ記述の基本モデルを実験により明らかにする着実な研究アプローチを採用した。2015年度はこの研究アプローチを踏襲し、開発した基本モデルを中心として、脳内想起メロディの反映が徐々に可能となるよう実験とデータ分析(分類および相関等)により段階的にモデルを発展させる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
国内研究会での発表を1件予定していたが、その発表予定内容を国際会議論文に含めたため国内研究会としての一部出張旅費が未使用となったため
|
次年度使用額の使用計画 |
2015年度では、2014年度と同様に国内および海外での発表を予定して。この旅費の一部として使用する予定である。
|