指紋認証の指紋登録時に本人の人体指内部電磁応答特性を登録し、認証時に取得された電磁応答特性と照合することで偽装物の検出精度を向上させる手法を検討した.特に,偽装物として生体検知が困難と想定される高度偽装物に対する実験的評価を中心に研究を進めた.平均的な人体指をテンプレートとする昨年度までの生体検知法と比較して,本人指を用いる提案生体検知評価特性は,FRR (FAR = 0 %) が15% から4%に,また,FAR (FRR = 0 %) も8%から1 % と改善され,提案手法 による生体検知の有効性を実験的に確認した. 人体指の電磁応答特性測定時の偶然誤差による分散を測定し、偶然誤差による生体検知結果への影響の評価を行った.さらに、時間経過に伴う指の状態変化に関わる電磁応答特性の分散を測定・評価することで,指紋登録時に当該指の電磁波応答特性を同時取得し指紋認証データベースに組み合わせ統合記録する提案方式の検知安定性について評価を行った.
また,生体検知センサを指紋認証センサと組み合わせる構造として光学的に透明化が可能となる導電性膜を想定した検討を進めた.具体的にはITO膜を想定した薄膜材料の電気定数をシミュレーションに取り入れ,従来の銅箔と誘電体樹脂で構成したCSRRバンドバスフィルタをガラス基板上のITO膜で構成することを想定した生体検知センサの電気特性を分析した.さらに、試作後のセンサ評価のために測定用の治具を金属および樹脂を用いて2種試作した.
一方,生体検知の比較実験の基準とするために人体等価ファントムが必要であり,人体組織を模擬する人体等価ファントムを効率良く試作するため、単一周波数の組成設計を目的とした人体等価ファントム自動組成設計システムを開発し,その組成設計精度の評価を行った.
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