研究実績の概要 |
第一に「洞察的問題解決における潜在的評価と主観的評価」をテーマに解決への自信,作業の適切性評価,ピース操作の関係についてデータを再分析した。結果,これらは独立した処理系として問題解決に寄与することが明らかになった。成果は最終年度に14th European Congress of Psychology (2015年7月)で報告した。 第二に協働学習のスキル育成や教授法の提案を目指し、「タングラムを活用した協働的問題解決」の実験を行った。ペアで作業する協働条件と単独で取り組む個人条件を設定し,また、熟考を求めた熟考群と,休憩を求めた統制群を設けた。結果,熟考を求めることで解決率が高まり,協働条件では解決時間が遅延した。成果は最終年度にBritish Psychological Society, 32nd Annual Cognitive Psychology Section Conference(2015年9月)で報告した。また「協働の形態が洞察的問題解決に及ぼす影響 -数理パズル”タングラム”を用いた検討」として秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要第37巻(2015年3月)に掲載された。 第三に「多様な制約の特定と眼球運動の解析」について取り組んだ。タングラムの多様な課題のうちライオン、矢印,アヒルの3課題で実験を行い,各制約の特定を目指した。作業者の眼球運動も測定し、課題解決中の視線移動を解析した。 第四に、タングラム問題をソフトウェア上で解く基本アルゴリズムの設計を目指し、計算幾何学からのアプローチを試みた。第一歩として2個のピースに限定した組み合わせを解くアルゴリズムを開発した。成果は最終年度に「パズルゲーム"タングラム"解法の基本アルゴリズム」として福島工業高等専門学校研究紀要第56巻(2016年03月)に掲載された。
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