• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

健常成人における個人差を利用した発達障害に関連する行動特性の男女差の同定

研究課題

研究課題/領域番号 26540061
研究機関東京大学

研究代表者

松吉 大輔  東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (70547017)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード発達障害 / 個人差 / 男女差 / 顔認知 / 視線認知 / 注意
研究実績の概要

自閉症スペクトラム (autism spectrum disorders, ASD) や注意欠陥多動性障害 (attention-deficit hyperactivity disorder, ADHD) などの発達障害は、そのほとんどが男性において生じるとされる。いずれも非典型的な行動上の問題を抱え、一般社会への適応に困難を持つ。しかし、これら発達障害の症状は個人間での不均質性が高く、原因となる遺伝子はおろか、行動特性の具体的な特定(本態か併発症状か)にも不十分な点が多い。行動特性の同定のためには、比較的大きな患者群プールにおける検討が必須であるが、患者を多人数集める実験調査を行う事は容易ではない。また、女性患者が少ないため、そこで得られたデータの一般性には限界がある。そこで申請者は、患者群ではなく、健常成人における発達障害傾向測定によるアプローチを提案し、健常成人における、質問紙によって測定される個々人の発達障害傾向と、実験的に測定される行動との相関を検討する事で、発達障害の行動特性の男女差を同定することを目的とした。初年度は健常成人における自閉傾向を測定する質問紙である自閉症スペクトラム指数 (Autism-Spectrum Quotient, AQ) を用い、自閉症における代表的な行動特性の一つである視線・顔認知について、自閉傾向と視線・顔認知との関連が男女で異なるかどうかを検討した。その結果、AQと視線知覚は男性で優位な相関が観察されたにも関わらず、女性ではそのような相関は見つからなかった。このことは、視線認知は男性のみで自閉症の中間表現型 (endophenotype) を構成していることを示唆しており、自閉特性の研究において男女差を考慮する重要性を示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究はおおむね順調に推移しており、既に査読あり英文学術誌 (Molecular Autism) に掲載されている他、国際会議 (Asia-Pacific Conference on Vision) における口頭発表も行うなど、着実に研究成果が出ている。

今後の研究の推進方策

研究計画では、初年度に自閉症、次年度にADHDを扱う予定であったが、ADHDの男女差は従来考えられていたよりも小さいとする研究が増えつつある。従って、次年度はADHDに関連する研究のみを行うのではなく、自閉症関連特性軸足を置いて研究を進めることを検討している。

次年度使用額が生じた理由

当初予定よりも安価なコンピュータを購入したこと、海外での国際会議発表を予定していたが国内での国際会議発表への参加に変更したこと、ならびに共同研究により謝金額が抑えられたという3つの理由のため、予定よりも支出額が少なくなった。

次年度使用額の使用計画

2カ年全体としては計画通りとなるよう、計画的に支出していく予定である。ただし、最近の為替変動に伴い、国際誌の円建て投稿料・掲載料等が高騰しているため「その他」費目の支出が当初予定より増える可能性がある。そのため、初年度からの持ち越し含め、物品費20万、旅費30万、人件費・謝金70万、その他50万として支出することを計画している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Dissociable cortical pathways for qualitative and quantitative mechanisms in the face inversion effect2015

    • 著者名/発表者名
      1.Matsuyoshi, D., Morita, T., Kochiyama, T., Tanabe, H. C., Sadato, N., & Kakigi, R.
    • 雑誌名

      The Journal of Neuroscience

      巻: 35 ページ: 4268-4279

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.3960-14.2015

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 倒立は質的にも量的にも顔処理を変化させる2014

    • 著者名/発表者名
      松吉大輔・守田知代・河内山隆紀・田邊宏樹・定藤規弘・柿木隆介
    • 学会等名
      日本基礎心理学会第33回大会
    • 発表場所
      首都大学東京(東京都八王子市)
    • 年月日
      2014-12-06 – 2014-12-07
  • [学会発表] Human variation in autistic traits predicts the perception of direct gaze for males, but not for females2014

    • 著者名/発表者名
      1.Matsuyoshi, D., Kuraguchi, K., Tanaka, Y., Uchida, S., Ashida, H., & Watanabe, K.
    • 学会等名
      The 10th Asia-Pacific Conference on Vision (APCV 2014)
    • 発表場所
      Takamatsu, Japan
    • 年月日
      2014-07-19 – 2014-07-22
  • [学会発表] Sex and individual differences in autistic traits predict the perception of direct gaze2014

    • 著者名/発表者名
      松吉大輔・藏口佳奈・内田聖菜・田中優実子・蘆田宏・渡邊克巳
    • 学会等名
      第14回東京大学生命科学シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学本郷キャンパス(東京都文京区)
    • 年月日
      2014-04-26

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi