昨年度、その有効性が実証された認知課題成績の階層的因子分析に基づく一般知能(g)の結果と日常的な生活における看護師の観察記録、ならび、患者のQOLのデータをもとに、日常生活における新規な問題解決能力の指標を試作した。30名の前頭葉損傷患者について、これら指標のスコアと脳損傷部位の関係を脳画像データの統計的解析により求めたところ、右前頭葉の損傷との関連性が見出された。これは従来の研究とも一致する結果ではあるが、先行研究では、主にケース研究が主であった。それに対して、定量的なデータによって、右前頭葉が日常的な問題の解決に関与していることを裏付けることができた。これらの結果から、日常的な問題解決が、右前頭葉の抑制機能あるいはプランニング機能と関連する可能性が示唆された。
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