会話などの絶え間なく連続する聴覚情報を分析して単語のような規則性のある音列を抽出する過程は、ヒト言語の特徴の一つである。ヒト以外の霊長類においてこうした能力を調べるため、研究期間内にチンパンジー乳児が入手できなかったため,コモンマーモセットを用い、モールス信号のような刺激パターンの弁別訓練をおこなった。その結果、サルは音の周波数などの物理的特徴を認識できるが、音の順序の特徴を正しく認識できず、音列の規則性を長期記憶に貯蔵できないことが明らかとなった。この結果は、先行研究の結果とは矛盾するが、サル聴覚記憶に関する認知研究や、ヒト言語の神経基盤に関する神経解剖学研究の知見に裏付けられる。
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