本研究は,生理的な変化が起きていると誤認識することで,感情が誘導されるという考え方をもとに,話者の音声をリアルタイムに変更して本人にフィードバックするシステムの開発を目指した.まず,どのような音響情報により,聞き手が感じ取る感情が操作されるかを示した先行研究をサーベイした.利用された音響情報は数十種類にのぼった.しかし,本研究のようにリアルタイムに変更する場合には,扱える音響情報は限られる.そこで音高と音量を24のアルゴリズムで変換する方法を提案した.実験の結果,「平静な」「のんびりした」「ゆったりした」感情に誘導するには,周波数ごとに音量を変換する方法が有用であることがわかった.
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