本研究の目的は、電気的前庭刺激を用いて内耳にある前庭感覚器を刺激した際の姿勢制御反応が、指先への体性感覚入力から受ける影響を明らかにすることであった。前庭感覚は姿勢制御に大きな役割を果たしているが、そこに体性感覚が与える影響は十分調べられていなかった。健常者において、姿勢が安定した座位で前庭感覚器に刺激を与えたときに、指先を安定面に触れることで姿勢反応が大きくなる事態を明らかにした。さらに、片側の後部島質損傷患者において、それが反射ではなく、脳皮質で起きる体性-前庭感覚の統合的処理である可能性が示された。
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