研究課題/領域番号 |
26540074
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
岩木 直 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 自動車ヒューマンファクター研究センター, 副研究センター長 (70356525)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 被験者関神経連間 / 非侵襲脳機能計測 / 協調作業 / 脳波ハイパースキャン |
研究実績の概要 |
複数の作業者による協調作業の効率は,その協調作業従事中の作業者間の認知・行動をつかさどる神経活動における相互作用(個人間神経連関)の結果として現れると考えられるが,その協調作業における個人間の神経連関のダイナミクスや,その協調作業パフォーマンスへの影響はまったく明らかにされていない.本研究では,協調作業における作業者の動的な相互作用の神経基盤,とくに互いに対面した被験者間の脳活動の相互作用と行動指標との間の相関関係をモデル化する技術を開発することを目的としている. 今年度は,昨年度までに行った対面する2名の被験者間で視線の相互知覚実験結果に基づいて,対面した被験者間の協調作業課題を設計し,両者の間の行動指標(課題遂行パフォーマンス)と脳波指標との間の相関関係を調べるためのデータ取得を開始した.2名の被験者間の視線相互知覚実験のデータ解析からは,アイ・コンタクトに同期したガンマ帯域(40 Hz前後)脳活動パワーが有意に増大する現象が,頭頂部,前頭部,側頭部など,他者行為の認知に必要なミラーニューロン・システムの責任部位において観察されるのみならず,両者間のベータ帯域(20 Hz前後)脳活動のコヒーレンスが前頭部,側頭部,頭頂部で上昇することを示唆する結果が得られ始めており,対面する被験者間の協調作業にともなう脳活動データについても,これらの脳活動周波数,脳部位における変化が期待される.来年度は,対面した被験者間の協調作業課題の行動,脳波データの蓄積を進め,行動パフォーマンスと脳は指標との間の相関関係を明らかにする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,本研究計画の2年目として,昨年度までに構築した2名の被験者から同時に脳活動を計測するシステムを用いたデータ取得を開始した.また,これまでに得られたデータの解析から,同時に計測した2者間の脳活動データ間の相関関係を評価できることを示唆する結果が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
作年度までに構築した,複数の被験者から脳波,眼電図,行動指標を同時計測するシステムを用いて,今年度作成し実験を開始した協調作業課題を遂行中のデータ計測を継続して行う.来年度はとくに,得られたデータから行動パフォーマンス指標と相関の高い脳活動成分を抽出する.これにより,複数の作業者間での協調作業においてパフォーマンスに影響する脳神経メカニズムと,その被験者間の相互作用について定量的な検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では,強調作業課題と得られたデータ処理方法の実装を行うために,実験協力者とデータ処理プログラム作成協力者への謝金を平成27年度予算より支出する予定だったが,今年度の実験は内部ボランティアを用いた予備実験のみとし,データ処理アルゴリズムの実装まで研究代表者自身が優先的に行うこととした.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に,平成27年度までに作成した協調作業課題とデータ処理アルゴリズムを用いて,協調作業遂行中の複数被験者のデータ計測と解析を集中的に行う.このため,次年度使用額は平成28年度前半にデータ処理用コンピュータと実験被験者謝金として使用する予定である.
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