本研究の目的は、これまで独立に行われてきた「材質認識」と「物体認識(形状認識)」を融合して処理し、互いのデータを補助的に用いることでそれぞれのタスクの認識率を向上させること、さらに材質・形状を手がかりとしたさらに細かな画像分類を可能とすることであった。しかし、深層学習など新しい手法の登場により両者の垣根がなくなり同等の問題として扱われるようになってきた。そのため、下記のように研究の力点を変え、材質認識、物体認識両方に一般的に利用可能な手法について研究を進めた。 これまで行ってきた研究内容は大きく分けて3つある。1つめは、機械学習器の確信度判定である。正しく確信度を判定できれば、確信度が低い場合に別の特徴抽出や機械学習の手法を導入ことによって判定結果を正しいものに上書きできる可能性がある。この確信度判定について、解析的な手法と機械学習を用いる手法を提案した。2つめは、進化計算を用いたCNNの構造・パラメータ自動最適化の研究である。CNNに代表される深層学習は、研究者が手作業で特徴量抽出アルゴリズムを決定する必要がない画期的な手法とされているが、構造・パラメータについては研究者がやはり手作業で決定する必要がある。これらの最適化は探索空間が広く手作業による最適化は非常に困難であるため、進化計算による自動最適化について研究した。本年度は特に粒子群最適化法による最適化を行い、国内外での発表を行った。3つめは文脈に基づく物体検出・認識性能の向上である。画像中に共起している他の物体の情報や、物体の出現位置や大きさを考慮して確信度を再計算する手法を提案した。
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