研究課題/領域番号 |
26540085
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
向川 康博 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (60294435)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 光伝播 / 光線空間 / プロジェクタ・カメラシステム / 反射屈折光学系 |
研究実績の概要 |
本研究の初年度は,8次元光伝播の効率的なサンプリング方法について研究を行った.本研究では,研究代表者が2009年〜2011年にかけて行った科研費挑戦的萌芽研究「多面体ミラーを用いた8次元光線空間の記録」で開発した多面体ミラーを再利用して8次元光線空間を記録することを想定していた.しかし,この多面体ミラーは,対象物体を取り巻く半球面上を通過する光線をできるだけ等しい密度で網羅的にサンプリングすることを目的に設計されているため,情報の重要度に合わせて効率的にサンプリングすることができなかった.
そのため,どのようにカメラと平面鏡を組み合わせれば,任意の位置に仮想カメラを配置できるかについて解析し,最適な平面鏡の配置について検討を行った.具体的には,様々な位置と角度に平面鏡を配置した場合に生成できる仮想カメラの位置・角度の組み合わせを調査した.その結果,1台のカメラと1枚の平面鏡の組み合わせで実現できる仮想カメラの方向と位置に関する幾何学的な制約を明らかにした.
これにより,例えば物体表面での反射光は正反射方向にピークが来るように,重要な情報が含まれている方向に重点的に仮想カメラを配置することが可能となる.逆に,多重散乱のように,入射光の角度の変化に対して,出射光の分布がほとんど変化しないような場合など,さほど重要でない方向には少数の仮想カメラしか配置しないなど,情報の重要度に合わせて効率的にサンプリングすることが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は,8次元光伝播の効率的なサンプリングを実現することを目的としていた.研究計画の時点では,(a)重点サンプリングによる効率化と,(b)圧縮センシングによる効率化の2通りを検討していた.検討を進めた結果,(a)は平面鏡の配置を変えることで用意に実現可能であること,一方で,(b)は対象とする光学現象に強く依存し一般化が難しいことが明らかとなった.そこで,主に(a)に注力し,平面鏡を用いた仮想カメラの配置方法を明らかにし,当初の目標を概ね達成した.
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今後の研究の推進方策 |
初年度は主に平面鏡を用いた仮想カメラの配置の問題を取り扱い,4次元の光線空間の「記録」について検討を行った.2年目となる平成27年度は,8次元の光伝播を解析するために,4次元の光線空間の「生成」についても検討する.具体的には,平面鏡を用いた仮想プロジェクタの配置も問題も取り扱う.
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次年度使用額が生じた理由 |
光伝播をサンプリングする機器の設計にあたり,初年度はシミュレーションを中心に検証を行い,実際にシステムを構築するのを次年度に行うようにスケジュールを一部変更したため.
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次年度使用額の使用計画 |
2年目より新たに研究分担者を加え,分担金を配分し,2機関で共同研究を行い,研究を加速させる.
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