研究課題/領域番号 |
26540091
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
杉本 晃宏 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (30314256)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 幾何形状 / あてはめ / 外れ値 / コンピュータビジョン |
研究実績の概要 |
従来の幾何形状あてはめ手法では、計測データは離散化されているにもかかわらず、それに対して連続モデルをあてはめている。それゆえ、形状モデリング過程の幾何学的処理の計算精度を保証し、構築したモデルの信頼性を提供するという観点において、本質的な問題があった。本研究課題では、計測データ(与えられた格子点データ集合)に対して、外れ値やノイズが存在するという前提の下で、外れ値を排除しつつできるだけ多くの格子点データを説明する、離散形状モデル(離散曲線、離散曲面など)をあてはめる手法、すなわち、離散形状モデルのパラメタを効率的に求める手法の開発を目指している。
平成26年度は、ノイズや外れ値を含む2次元格子データに単一の離散多項式曲線をあてはめる問題、および、3次元格子点データに単一の離散多項式曲面を当てはめる問題、に取り組み、局所探索手法を用いた統一的なアプローチで局所最適なパラメタを求める手法を開発した。また、実験的に、ほとんどの場合、大域的にも最適になっていることを確認した。また、もとの形状を異なる離散化手法によって離散化すると、一般に、得られる離散形状モデルの性質が異なるが、2次元の陽曲線(y=f(x)の形で表現される曲線)、3次元の陽曲面(z=g(x,y)で表現される陽曲面)を対象とした場合、0-連結球、あるいは、1-連結球を構成要素として用いた形態学的離散化と連結球の端点のみに形態学的作用を施して得られる近似離散化とは、連結性の観点で同等であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に予定していた研究項目に対して、当初の見込みどおりの研究成果を挙げている。加えて、あてはめる形状を連結性を保持するように離散化することが重要であるとの問題が顕在化し、離散化モデルに関する検討も加えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って、単一の離散形状あてはめ手法の改良を進めるとともに、複数の離散形状あてはめ問題に取り組む。その際、問題を最適化問題として定式化し、局所探索による最適なあてはめ手法の開発を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初リサーチアシスタントを雇用し、シミュレーション実験を補助してもらう予定であったが、手法をさらに改良した後にシミュレーション実験を行う方が、研究を効率的に進めることができることが判明したため、人件費として計上していた経費相当額を次年度に執行することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
理論に重心をおく研究課題であるため、得られた研究成果を国内外で発表するための経費、会議参加費などを中心に研究費を執行する予定である。また、開発手法のシミュレーション実験を行う際の実験補助としてリサーチアシスタントを雇用する予定である。
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