研究課題
初年度は,運転支援システム導入時に訓練を適切に行うことによって,過度な信頼を抑制しつつも,適切な信頼を醸成できるようになることを検証することを目指した.ここで想定するドライバは,視野の一部がかけていて,注意深く運転をしていても見落としが起こりやすい人である.ただし,このドライバは,自身の知覚機能の障害を自覚しているとする.視覚的な知覚機能に障害を有するドライバが必要とする支援と,その場面を明確化し,プロトタイプを構築することに取り組んだ.これまでの調査では,横断してくる歩行者・自転車,右折してくる対向車両,等が出現する場面が重要であることがわかっていることから,まずこれらの対象の認識・回避支援を具体化を目指した.この目的のために,実際の患者の運転行動の分析を行ったところ,ピンホール型の視野狭窄と,部分的に視野欠損が生じる場合とで,運転行動への影響が異なる可能性がわかってきた.そこで,運転行動への影響を詳細に分析することをはじめに行う必要が生じた.ここでは,ピンホール型の視野狭窄にまずは着目し,運転行動データの収集・分析を行った.なお,他の研究プロジェクトとの兼ね合いによって,本研究においてシミュレータを占有するために,小型シミュレータを導入する必要が生じた.蓄積した運転行動データの分析を行い,視野狭窄条件下での運転支援システムの案の構築までを行った.
3: やや遅れている
視野異常の影響を詳細に考察する必要が生じたため,当初計画に比べるとやや遅れている.しかし,視野異常がもたらす運転行動への影響については,当初の予想よりも精密な知見をえることができる見通しを得ている.
視野異常がもたらす運転行動への影響を精密に分析し,知見をまとめる.そのうえで,有用とおもわれる運転支援の形を具体化し,ドライビングシミュレータに実装を行う.その後,シミュレータ上で,運転支援システムの事故回避性能を評価するとともに,そのシステムの受容性を評価する.さらに,受容性を向上させるための,ドライバへの訓練方法を構築する.盲導犬やそのユーザのトレーニングを行っている専門家から知見を収集し,訓練方法の立案にやくだてる.これにもとづいて,訓練プログラムの評価を行う.
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
SICE Journal of Control, Measurement, and System Integration
巻: 8(1) ページ: 27-33