研究課題/領域番号 |
26540097
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鳴海 拓志 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 講師 (70614353)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 感覚間相互作用 / 触力覚提示 / 背面タッチパネル / クロスモーダル / モバイル / ユーザインタフェース |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,背面タッチパネルと視覚触覚間相互作用を組み合わせて利用することで,実際に力や振動を発生させる装置を用いずに,モバイル端末上で押下・剪断両方向の触力覚を擬似提示可能な手法を実現することである.小型で超高精細のタッチパネルが普及するにつれ,触力覚フィードバックにより細かい入力の操作性を高める手法が求められている.本研究では小型画面の入力補助に用いられる背面タッチパネルシステムを利用し,デバイスが透過しているかのようにデバイス裏側の手を表示するとともに,その手と画面内のオブジェクトを変形して見せることで擬似触力覚を提示する手法を構築する.この手法の効果・適用限界を検証し,これを利用したユーザインタフェースを構築することでタッチパネル付モバイル端末の操作性向上を図る. 本年度は,(3)手形状変形フィードバックによるPseudo-Haptics 効果の定量的評価として,背面タッチパネルに触れる手の接触点位置の表示位置・手形状・操作物体形状に変調を加えた映像を表示することでPseudo-Hapticsを生起させる手法に関して,心理物理実験を通して,パラメータによる押下力・剪断力,また画面中に表示されたオブジェクトに関する深部感覚(形状・硬さ等)に対する知覚操作効果の変化を精査した.また,知覚と指から発生する押し込み力の対応関係を検証し,生理反応からPseudo-hapticsの効果を定量的に評価できる可能性を示唆できた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予備検討段階において,Pseudo-hapticsによって生じる知覚の違いが指先に発生する応力という生理反応の違いとして現れるということが示唆され,この現象の精査に時間をかけるよう研究計画を変更したため.ここで得られた知見を基により良いユーザインタフェースやシステムを構築することを目指す.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに基礎となる知覚操作手法を確立でき,その効果を生理評価によって定量的に評価するための基盤についても想定以上の知見が得られた.こうした知見を活用し,引き続き同じ体制で研究を推進し,目的の達成を目指す.
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成27年は視覚触覚間相互作用誘発による触力覚提示手法のユーザインタフェースへの応用と評価を行う計画であった.一方,触力覚提示性能の基礎評価において,指先圧力や筋電等の生理指標から視覚触覚間相互作用を定量評価可能なことを初めて明らかにした.この学術的価値を鑑み,生理指標による評価を精緻化し,汎用的な客観定量評価手法を確立すべく計測実験を重視したため,インタフェース応用の検討を延期することとしした.
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度得られた成果を基に,モバイル向けユーザインタフェース等の構築をおこない,その効果を被験者実験によって明らかにする.システム改良のための物品費,実験に必要な謝金,成果発表に要する旅費等に次年度使用額を充てる計画である.
|