研究課題/領域番号 |
26540099
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡辺 義浩 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 講師 (80456160)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ウェアラブル機器 / 高速センシングシステム / 高速画像処理 |
研究実績の概要 |
本研究では、ユビキタスな情報環境のための新たな入力ユーザインタフェースとして、手首に装着されたウェアラブル高速センシングユニットによって、実世界のあらゆる面を情報端末のための入力操作面とする技術の研究開発を実施している。本年度は、下記の通りに実施した。 まず、マルチセンサ型のウェアラブル高速センシングユニットを開発した。本ユニットは、接触面と指の接触を、手首に搭載された高速ビジョンによって観測するウェアラブルな構成に基づくものである。この構成は、指の裏側しか見えず、視野が限定される問題があるが、観測位置と対象の位置関係が動作に依らないと同時に遮蔽も少ないため、高精度な認識を達成できる可能性が高いと考えられる。一方、視覚情報のみでは、指と面の距離が極めて近い状況における検出誤差が発生する問題がある。また、撫でる、軽く触る、叩くなどの状態を識別することは難しい。そこで、ユニットにはコンタクトタイプの高感度マイクによる接触状態識別を導入した。 構築したウェアラブル高速センシングユニットから取得される視覚と聴覚の情報を用いて、対象面と接触している指の識別、同指の動作、接触状態を取得する手法を設計した。特に、対象面と接触している指を高精度に識別するために、粒子群最適化に基づくモデルベースの高速な指識別型のトラッキング手法を提案した。提案するユニットの場合、観測される指先の運動を限定することができるため、このようなモデルベースの手法を導入することができる。また、高フレームレート撮像と粒子群最適化の統合によって、自由度が高い運動モデルに対しても効率的に各指を識別しながらトラッキングすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、マルチセンサ型のウェアラブル高速センシングユニットを開発し、本開発ユニットのための認識手法を設計し、動作を実証した。おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、多様な入力と操作のマッピング設計とその評価や、付加デバイスによる拡張機能搭載と柔軟体への対応に着手する。さらに、ウェアラブル高速センシングに基づく実世界接触型入力技術の新たな応用として、アーカイブへの展開に着目する。これまでの視覚情報のアーカイブは、カメラ撮像に基づいていたが、撮像のスタイルがカメラを取り出してシャッターボタンを押す形に限定されている。例えば、ノートやポスターを電子的に取り込みたいとき、同アーカイブの行為の最適化に向けて、本研究のウェアラブル技術が役立つ見込みが高いと考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、ユニットのプロトタイプ開発と基本手法の確立までを実施計画とした。3次元情報を取得するためのプロジェクタを組み込んだタイプのユニットの開発を次年度に移行したため、次年度使用額が発生した。これは、設計を進める中で、同プロジェクタの小型化と高輝度化が見込める可能性が見えたため、当初予定以上の性能を収めるために計画を見直したものである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、本年度に実証したユニットのプロトタイプと基本手法を軸に、3次元情報を取得するためのプロジェクタを組み込んだ新たなユニットの設計と開発を実施する。この実施において、次年度使用額を使用する予定である。
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