本研究では、ユビキタスな情報環境のための新たな入力ユーザインタフェースとして、手首に装着されたウェアラブル高速センシングユニットによって、実世界のあらゆる面を情報端末のための入力操作面とする技術の研究開発を実施している。 本年度は、前年度までに開発したユニットに基づき、新たな応用機能の実現に着手した。ここでは、写真撮影を基本とするアーカイブ応用に注目した。近年、スマートフォンなどのカメラ機能付き携帯デバイスの普及やブログやSNS などの写真と連携可能なウェブサービスの普及により、情報の記録や日常のメモを目的とした写真撮影の利用が増えている。しかしこうした写真撮影の多様化に対して、撮影手法は、撮影対象をファインダーにおさめてシャッターを切る、という手法が依然として一般的である。この従来の撮影手法は、撮影デバイスを取り出す手間や時間および、撮影対象を画角内に捉えるまでの時間を要するため、情報の記録や日常のメモを目的として写真撮影を行う上で手軽さや高速性を欠いている。そこで本研究では、情報の記録や日常のメモを目的とした撮影を、より簡単かつ、より高速に実現する、実世界接触型アーカイブという新たな形態を提案した。提案する応用機能では、アーカイブ対象への手による実物体接触を撮影トリガとして撮影を行った。また、シームレスな情報記録に向けて、撮像動画像からアーカイブ対象の写真を自動的に取り込む機能も実現した。複数の対象に対して実験を行ったところ、得られたデータに対して条件を整えることで、高い撮影成功率を達成することが示された。
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