立体映像への触覚の付加の実現に向けて,点群データで表現される3次元VR物体と,手指および手掌のVR物体への侵入量に基づいて反力を算出するアルゴリズムを開発するとともに,手指や手掌に23点の振動を提示する振動形のウェアラブルハプティックデバイスを試作した. 反力計算アルゴリズムでは,ウェアラブルな疑似ハプティックデバイスは,ユーザの手とVR物体への進入を阻止できないため,VR手を定義して,データグローブで計測されるユーザの手との関節角度差に基づくトルクをVR手に加えることで,ユーザ自身によるVR手の操作ならびにVR手とVR物体の干渉を実現した.振動形ハプティックデバイスは,共振形の振動モータを利用することで小型軽量化し,制御回路を含むウェアラブル化を実現した. さらに,光学式の手指トラッキングシステムを用いてVRシステムを構築し評価実験を行った結果,手指および手掌への多点刺激によって,指先1点のみでのインタラクションに比較して物体の形状認知が容易になる可能性が示唆されたので学会発表した. また,ウェアラブルハプティックデバイスを用いたVR空間においては,把持物体の他物体への干渉時に指先に生じるトルクの認知が困難になる問題に対し,把持物体の回転によって指先に生じる接線力を選択的に強化するレンダリングアルゴリズムを提案した.さらに,既に開発済みの,指先皮膚に対して水平振動する5個のボイスコイル型振動子を有するウェアラブルハプティックデバイスを用いたVR物体操作システムを構築し,評価実験を行った.その結果,提案手法のトルク認知や物体操作への有効性が確認されたため,論文発表した.
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