研究課題/領域番号 |
26540105
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浦西 友樹 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00533738)
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研究分担者 |
井村 誠孝 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50343273)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 複合現実感 / 光学的整合性 / 構造色 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,複合現実感 (Mixed Reality: MR) 環境における光学的整合性向上のための,光源方向および光源の分光分布を実時間で推定する二次元ARマーカの開発である.光の波長以下の微細構造が生み出す光路差に起因する発色は構造色と呼ばれ,視点位置や照明条件により見え方が変化する.本研究では,微細構造の一つである回折格子を有する二次元マーカを提案する.二次元マーカにより視点位置が推定された状態で回折格子マーカを観測すると,照明条件に依存した構造色が観測される.観測された構造色を事前に推定した構造色モデルに当てはめることで,光源方向および分光分布を実時間で推定することを目指す. 平成26年度においてはまず,シミュレーションおよび観測による提案手法の基礎検討を行った.構造色のシミュレーションには,構造色を発する物体のオフラインレンダリング手法や,我々がこれまでに提案してきた光路差テクスチャを用いたレンダリング手法を用いた.シミュレーションにより生成された画像群に基づき,提案手法の実現可能性を検証した.また実環境においても,暗室環境で回折格子マーカを観測することで,提案手法の実用性について検討を行った.さらに,暗室環境において視点方向,光源方向および光源の分光分布を既知として回折格子マーカを撮影し,撮影画像を参照パターンとするパターンマッチングベース光源方向推定手法を実装し,提案手法により光源方向を推定可能であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度においては,当初予定していたシミュレーションおよび実際の観測により,提案手法の実現可能性が示唆された.そこで当初の予定に加え,実測画像を用いたパターンマッチングベースの光源方向推定手法を実装し,単一の光源方向を推定可能であるか確認した.実験を行った結果,光源の分光分布が既知である暗室環境においては,提案手法により光源方向を推定できることが示された.本実験の結果は,平成27年5月のシステム制御情報学会研究発表講演会において発表予定である.また,暗室外の環境での提案手法の実用性についても検討を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度においては,下記の研究計画を予定している. (1) 引き続き暗室環境下での実験を行い,提案手法の推定精度や光源の推定可能範囲などについて定量的に評価する. (2) 現在のパターンマッチングベースの推定手法に加え,構造色モデルを用いた光源方向推定手法を提案する. (3) 支配的な光源が複数存在する場合において,それぞれの光源の方向や分光分布を推定することが可能であるか検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表を平成27年度に行うため,平成26年度の旅費および学会参加費が当初の予定より少なくなった.また,基礎検討段階でのマーカ作成費用が当初計画より安価に抑えられた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度での学会発表のための旅費および学会参加費として使用する.さらに,マーカ作成費用および実装用の計算機購入に充てる予定である.
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