研究課題
本研究の目的は,複合現実感 (Mixed Reality: MR) 環境における光学的整合性の向上のための,光源方向および光源の分光分布を実時間で推定する二次元ARマーカの開発である.光の波長以下の微細構造が生み出す光路差に起因する発色は構造色と呼ばれ,視点位置や証明条件により見え方が変化する.本研究では,微細構造の一つである回折格子を有する二次元マーカを提案する.二次元マーカにより視点位置が推定された状態で回折格子マーカを観測すると,証明条件に依存した構造色が観測される.観測された構造色を事前に推定した構造色モデルに当てはめることで,光源方向および分光分布を実時間で推定することを目指す.平成28年度においては,1. 構造色モデルを用いた光源方向推定手法の提案,2. 複数の光源が存在する場合におけるそれぞれの光源の方向や分光分布の推定可能性の考察,3. デモ用のアプリケーションの開発,を目的とした.1. 構造色モデルを用いた光源方向推定手法 については研究期間内での手法の確立に至らなかった.また,2. についても構造色モデルの確立に至らなかったことから,複数光源下での光源特性推定には至らなかった.主な原因としてはカメラからの入力情報に基づくモデルでは情報量が不足していることが挙げられ,より多くの情報を得るため,ライトフィールドカメラを入力として用いることを検討している.3. については,平成27年度までの研究成果をもとに,デモ用の簡単なARアプリケーションを作成し,JP2016にて展示を行った.
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日本バーチャルリアリティ学会論文誌
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