研究課題/領域番号 |
26540118
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
横尾 真 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (20380678)
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研究分担者 |
東藤 大樹 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (50708394)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メカニズムデザイン / 限量子消去法 / 最適化 / オークション |
研究実績の概要 |
平成26年度は,限量子消去法を用いた自動メカニズム設計手法の確立を目標に,単一財オークションを例題として検討を重ねた.限量子消去法を用いることで,いくつかの基本的な性質を満足するメカニズムの抽象的な記述方法,すなわちパラメータの範囲によるメカニズムのプロトタイプの表現方法を得た.特に,各入札者が予算制約を持つ単一財オークション関して,誘因両立性を満足するオークションメカニズムのプロトタイプを自動生成することに成功した.さらに,パラメータを適切に設定することによって,オークション主催者の期待収入を最大化するオークションメカニズムが得られることを示した.この研究成果の一部は,国際会議AAMAS-15 (The 14th International Conference on Autonomous Agents and Multi-Agent Systems) にポスターとして採択されている(採択率46.8%).これまでに得られた研究成果をまとめ,英文論文誌投稿へ向けて準備を進めている.また,組合せオークションを含む,より一般のオークションモデルや,ベイズナッシュ誘因両立性をはじめとする,より複雑な性質への対応についても既に議論を開始している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
従来,数理計画法に頼り,人手による結果の検証が必要不可欠であった自動メカニズム設計の理論に対し,全く新しい限量子消去法による理論を構築した.得られた成果は主に,各参加者が予算に関する制約を持つという,オークションの特殊ケースに制限されている.しかしながら,その特殊ケースにおいては,誘因両立性を満足するオークションメカニズムのプロトタイプを得ることに成功しただけでなく,主催者の収入を最大化するオークションメカニズムを発見するなど,当初の予定以上に進捗している.特に,研究成果の一部をまとめた論文が人工知能・エージェント分野で最難関の国際会議 AAMAS-15 に採択されており,その研究成果は国際的に一定の評価を得ている.組合せオークションなどへの拡張に関しても既に検討を開始しており,平成26年度の計画は十分に達成したと言える.
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今後の研究の推進方策 |
今年度に得られた研究成果を拡張するとともに,より複雑かつ大規模な問題への対応を行う.今年度の研究成果の拡張に関しては,既に検討を開始している,組合せオークションとベイズナッシュ誘因両立性を主に扱う.まずは,組合せオークションにおけるベイズナッシュ誘因両立性を論理式で表現することを試みる.必要に応じて,単一バンドル指向 (single-minded) な入札者のみを議論の対象とするなど,問題の簡単化を行い,具体的な結果を得ることに注力する.複雑かつ大規模な問題への対応に関しては,性質の分割方法と簡略表現方法を主に検討し,提案した自動メカニズム設計手法の大規模な問題への適用可能性を探る.
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次年度使用額が生じた理由 |
海外協力研究者である Mingyu Guo 氏(オーストラリア・アデレード大学)との研究打合せが,双方の日程の都合でキャンセルとなったため.なお,打ち合わせ予定であった事項はメールによるディスカッションにて代替したため,本事業の進展への影響はなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
海外協力研究者と綿密なディスカッションを行うため,次年度にも研究打合せを計画し,そのための旅費に充てる.
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