平成27年度は前年度に引き続き,限量子消去法を基盤技術とする,パラメトリックメカニズムデザインに関する研究を遂行した.特に,入札者が予算制約を持つ単一財オークションに関して,誘因両立性を満足するメカニズムの自動設計手法を検討し,主催者の期待収入を最大化するオークションのプロトタイプを確立した.本研究成果について,人工知能/マルチエージェント分野の最難関国際会議である AAMAS-15 にてポスター発表を行った. また,複数のエージェントが交互に非分割財を選び合う,選択順序問題 (picking sequence problem) に関しても検討を行った.順序がランダムに決まる問題を定式化し,エージェントが2人のケースで,相手の戦略が観測可能な場合には,与えられた財の集合を獲得できるか否かの確認が多項式時間でできることを示した.さらに,自分の期待効用を最大化させる戦略を求める手続きが多項式時間で動作することを示した.本研究成果は,国際会議 AAMAS-16 にて報告予定である. パラメトリックメカニズムデザインのオークション理論以外の応用先として,研修医配属のマッチングについての関連研究を調査し,本研究課題で提案した技術を適用する際の課題について討議を行った. このほか,繰り返しゲーム,分散制約充足への応用についても研究討議を行った.
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