研究課題/領域番号 |
26540119
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
坂本 比呂志 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (50315123)
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研究分担者 |
安原 晃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60256625)
久保山 哲二 学習院大学, 計算機センター, 教授 (80302660)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 知識発見 / データマイニング / データ圧縮 / 結び目理論 |
研究実績の概要 |
本研究は、アルゴリズムの計算力によって数学の新定理を発見することを目指す。ミルナー不変量は,位相幾何学における結び目の構造を推定するための強力な道具である。しかし、単純にこれを求めようとすると、たとえ計算機を用いても莫大な時間を要するため、これまでのミルナー不変量の計算はごく単純なものに限定されている。本研究は、データ圧縮の理論によって計算可能な領域を指数関数的に拡大し、これまでは不可能であった複雑な結び目不変量を求めることを可能にする。そして、開発した不変量解析の処理系を世界に公開し、数学とアルゴリズムの共同作業によって現在は不可知の領域に存在する新知識の発見を目指す。以上が研究期間内に目指す目標である。これまでに、研究代表者、研究分担者および研究室の博士課程の学生の共同作業によって、簡単なミルナー不変量を自動計算するプログラムを開発した。このプログラムは海外の数学者に配布され、彼らのレビューを受けて昨日拡張を続けている。今後は本格的な知識発見に向けて国内外で研究打ち合わせを行い、問題設定と実験を続けていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究で簡単なミルナー不変量を計算するプログラムは完成している。しかし、このプログラムを、計算機やプログラミングに全く習熟していない数学者が使おうとする場合、かなりの時間をかけて訓練を受けなくてはならない。現在のところ、全くの初心者でも使えるようなユーザインターフェースを備えていないため、初年度はこの部分の整備が必要であったが、研究メンバーにはユーザインターフェースの専門家がいないため、この部分の開発が遅れている。また、研究者が自由に描いた結び目の絵をそのままデータとして取り込む機能も語句簡単なものを実装しているが、結び目の絵から情報を取り込む部分と、不変量を計算する部分のプログラムが連動していないため、やはり初心者が最終的な結果を得ることが難しくなっている。これらの基本機能の充実が研究の深化のために必要である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、ユーザインターフェースの部分の開発が遅れたため、次年度は実際に使う側の研究者と密接に議論することで、必要な機能を補強し、実際に使えるプログラムにしていく。また、現在のプログラムは、ある程度以上の複雑さを持っている結び目に対しては、途中計算のために必要な領域が爆発してしまうため、より複雑で重要な結び目の解析に利用できない。そこで次年度は、代表者らがこれまでに開発した簡潔データ構造の動的な更新のテクニックを駆使することで、省スペースの不変量計算を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、旅費として計上していた金額よりも実際の航空券代が安価であったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は2万円に満たない金額であり、次年度の旅費と使用するので問題ない。
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