研究課題/領域番号 |
26540121
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
相澤 彰子 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (90222447)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 視線計測 / 自然言語処理 / 文書最適化 / 読み方モデル / 視線アラインメント |
研究実績の概要 |
電子端末を介した言語活動は、我々の日常生活になくてはならないものとなっている。読むべき対象が量的にも質的にも多様化し、対応して読み方のスキルも複雑になる中で、テキストの画像特徴や読み手の状況にも考慮した「読まれ方」の言語処理については、これまであまり検討されて来なかった。そこで本研究では、画面上でテキストを「読む」行為に焦点をあてて、その計測・モデル化・支援について検討を行う。 本年度は、画面上で人が文章を読む際の視線計測の精度を向上するために、視線停留点の座標軸上での分布を単語位置に対応づけるためのアラインメント手法の開発に引き続き取り組んだ。具体的には、テキスト上での視線停留点間の遷移に注目して、読み戻りなどの遷移タイプを推定する手法を新たに提案した。また、推定した遷移タイプを新たに素性として加えることで、視線とテキストの位置合わせの精度が向上することを示した。さらに、ウェブアプリケーションを使った視線位置合わせ編集ツールについて、ソフトウェアをウェブ上で公開した。 本年度はさらに、視線計測と文書最適化に関する2つの研究課題に取り組んだ。まず、読みやすさのための文書最適化について、自然言語処理における言い換え手法を用いて文書の内容自体を言い換えることで可読性を高める手法を提案した。また、複雑な読み方が必要となる翻訳作業とその支援環境に焦点をあてて、連携研究者と協力して、翻訳時の画面上での視線・マウス・音声ログの収集に取り組み、翻訳作業における読みのプロセスの分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初の計画通りに研究が進展しているが、下記の理由で未使用金額が発生した。 平成27年度に、視線とテキストのアラインメント手法および翻訳時の視線移動の分析と類型化に関する研究成果をとりまとめて投稿したが、国際会議の開催や論文採否判定が平成28年度となるため、繰り越しの必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間内で取り組んだ、(1) 位置・言語特徴に基づく視線とテキストのアラインメント手法の開発、(2) 視線位置合わせツールの開発、(3) 視線移動パターンの類型化と自動分類ツールの実装の3つについて、成果を国際会議等で発表するとともに、テクニカルペーパーの形で雑誌論文に投稿中であり、継続して対応する予定である。また、公開した視線位置合わせ編集ツールFixFixについて、国際会議 ETRAのデモセッションで2016年3月に発表を行っており、フィードバック等への対応を予定している。また、平成27年度に新たに取り組んだ翻訳時の作業者のログ取得と解析については、年度末までにデータベースの整備が終了しており、分析に基づく成果発表等を平成28年度に継続して行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に、視線とテキストのアラインメント手法および翻訳時の視線移動の分析と類型化に関する研究成果をとりまとめて投稿したが、国際会議の開催や論文採否判定が平成28年度となるため、繰り越しの必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
このため、国際会議の発表準備や論文修正への対応を継続して進め、未使用額はその経費にあてることとしたい。 国際会議(採択済):(1) LREC-2016 (10th edition of the Language Resources and Evaluation Conference, 23-28 May 2016, Portoros, Slovenia) 雑誌論文: (1)Journal of Information Processing
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