研究課題
本年度は前年度に明らかになったシステム全体にかけられた拘束条件の下でその要素成分が生成される過程について、これを新たな自己組織化原理と捉え、上記現象に潜む数学的構造を明確にすることでその神経機構を明らかにすることを目的とした研究を行った。結合振動子を結合させたネットワークを神経ネットワークの数理モデルとして用い、これに対し、双方向情報伝達を最大化させることを拘束条件とし、自己組織化過程を解析した。遺伝的アルゴリズムを用いてネットワークを進化させることで、上記の拘束条件を満たすネットワークを探索的に発見した。その結果、ネットワークは2つの異なった内部構造とダイナミクスを持つネットワークへと分化することを見出している。上記の結果を元に、従来とは異なる観点から、より生物の本質を捉えられる自己組織理論を構築することを目指し、新たな自己組織化理論の構築を試みた。この結果をまとめた論文はEntropy誌に掲載された。さらにモデルの数理的解析を進め、これをまとめた結果をセミナーにおいて発表した。また、分化により生まれた複数のサブシステムが動的にスイッチングしながら機能するシステムの数学的記述を目指すという観点から、従来フラクタル構造の理解や画像圧縮に使われてきた数学モデルである反復関数系を拡張し、実際の神経活動の時系列を生成するダイナミックスを記述する試みを行った。そして課題遂行中のラット海馬CA1錐体細胞にみられる特徴的なダイナミクスを、反復関数系を用いた数理モデルにより再現することに成功した。この成果をもとに口頭発表を行い、論文を投稿中である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件) 図書 (1件)
Entropy
巻: 18 ページ: 74
10.3390/e18030074
Advances in Cognitive Neurodynamics(V): Proceedings of the 5th International Conference on Cognitive Neurodynamics 2015
巻: 5 ページ: 13-15
10.1007/978-981-10-0207-6_3
巻: 5 ページ: 735-740
10.1007/978-981-10-0207-6_99
Current Opinion in Neurobiology
巻: 31 ページ: 67-71
10.1016/j.conb.2014.08.011