外部刺激によりONとOFFを振動するようなフリップ・フロップ反応の実現を目指し、2位にカルボン酸を導入したノルボルナジエン(N)-クアドリシクラン(Q)光クロミック系について検討した。両者の間でpKaで2程度の酸性度の差をもつ基質を見出し、水と有機溶媒の二層系において、Nが水層で直接光照射を受け、異性化したQが有機層に選択的に溶解するような光反応が実現されたが、有機層に溶解させた光増感剤の存在によりQがNに戻る反応については、2つの層への十分な分配率の差が得られるような溶媒中では実現できなかった。現在、有機層での増感による逆反応を達成できる基質や増感剤・溶媒系について検討中である。
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