研究課題/領域番号 |
26540127
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
上手 洋子 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (80582642)
|
研究分担者 |
西尾 芳文 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (80253227)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ニューラルネットワーク / 脳情報処理 / 複雑系ネットワーク / 自律性 / 同期現象 |
研究実績の概要 |
本年度の研究計画は、前年度に開発した様々な脳情報処理機能を持つニューラルネットワークシミュレータのなかでも特に、自律性を有するニューラルネットワークの設計に着目して研究を行うことであった。ここでは、自律性を持たせるためにニューラルネットワークの非効率性を利用し、より複雑な情報処理機能を有するネットワークの設計を行った。従来、ニューラルネットワーク内の結合は一様であることが多いが、これを不均一にすることでより複雑な現象を創り出すことができるのではないかと考えた。一つ目のネットワークは、結合に時間遅れを有するシステムである。実際のシステムでは、伝送線路などの影響で必ず結合に遅延を生じる。このようなシステムのモデリングのためにも時間遅れ結合のネットワークを考えることは重要であるといえる。ここでは簡単なニューロンモデルの代用として一次元写像モデルを時間遅れ結合した場合の現象について調査を行った。時間遅れの大きさによって、結合している一次元写像の同期現象に影響があることがわかった。二つめのネットワークは、ハブを有するシステムである。ここでのハブは、他のノードより多くの結合を有することを意味している。ハブがあるシステムとないシステムでは全体のノード同期が異なることを確認できた。今後はネットワークの同期現象と自律性の関係性の調査についてより詳細に研究していきたい。
また、研究分担者の西尾は、来年度のネットワークの回路実装の予備調査として、ノード間を伝送線路モデルで結合した場合の影響についての調査を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画内容としては、自律性を有するニューラルネットワークの設計であったが、自律性を創発可能な時間遅延結合系やハブを有するネットワークなど様々なネットワークシステムの提案を行うことができた。また、回路実装の予備調査として、結合を伝送線路モデルを用いたシステムやネットワーク構造がダイナミカルに変化するネットワークに対しての調査を行うことができた。さらにこれらの成果を国際会議や国内学会で報告している。これらのことから年間計画で提示した内容をほぼ遂行できているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画・内容で示した課題を遂行していく予定である。特に本年度は、自律性を有するニューラルネットワーク回路の実装および実験がメインテーマであるので、回路実験に重点を置いて研究を行う。
本年度提案した様々なネットワークで観測される同期現象と自律性の関係性の調査は興味深いので、年間計画・内容の課題を遂行するだけで満足することなく、常に新しい課題や研究内容を見つけ、より詳しい調査・考察を行っていく。
|