多目的最適化問題の非劣解集合に対する新しい評価尺度として,本研究課題の研究成果として2015年に提案したIGD+と従来の評価尺度であるIGDとの比較検討を行い,両者による評価結果が大きく異なる場合があること,および,従来の評価尺度IGDを用いた場合では,パレート優越関係の観点から見て明らかに劣る解集合を高く評価する場合があることを数値実験結果として明確に示し,国際会議IEEE CEC 2016 (IEEE Congress on Evolutionary Computation)で発表した.また,多数目的最適化アルゴリズムの性能評価に用いられることが多いDTLZやWFGなどのテスト問題が特殊な性質を持ち,多目的最適化アルゴリズムMOEA/Dの性能が,この特殊な性質に大きく依存することを明らかにし,IEEE Transactions on Evolutionary Computation誌で発表した.関連して,そのような特殊な性質を持たないような一般性の高い多数目的最適化テスト問題を生成するための枠組みを開発し,国際会議IEEE CEC 2016で発表した.さらに,多目的最適化アルゴリズムの性能評価指標として用いられることの多いHV(Hyper-Volume)による性能評価結果とHV計算のための参照点の位置との関係に関する研究を進め.研究成果を国際会議に投稿した.また,HVと同様に,多目的最適化アルゴリズムの性能評価指標として用いられることの多いIGDに対しても,性能評価結果とIGD計算のための参照点集合分布との関係に関する研究を進め,英語論文誌への論文投稿を行った.
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