本研究は,高出力と高応答性を両立する一体構造空電ハイブリッド直動アクチュエータの開発と制御に関するものである.流体圧力と電磁気力を出力軸へ伝達する要素(ピストンと可動子)および空間(空気室と可動域)を一体化する独自の構造により,バックドライバブルでありながらも,空気圧による高出力,電磁気力による高応答・高精度位置決めが可能で,力制御が実現できることから,柔軟性可変のロボット関節への適用が期待できる. 今年度は,開発した一次試作機の力制御性を評価する実験を研究分担者と協力して実施した.高応答での制御が可能な電磁力により,アクチュエータの機械摩擦を補償することで,空気圧駆動のみの場合と比較して,ハイブリッド駆動では力の制御性能が向上することを実験によって示し,得られた成果を国際会議にて発表した.発表後の質疑の時間外に,会場にて同分野の研究者から質問を受けるなどの反響があり,また議論を通じて研究・開発にとって重要な知見を得ることができた. また,電磁アクチュエータ要素を駆動するモータドライバの小型化に取り組んだ.開発した基板にはモータドライバだけでなく,力制御用のマイコンおよび電源回路も一体化し,アクチュエータ上に実装できるようにした.開発した基板によって試作機を駆動する性能評価実験を行い,素子の発熱などの問題が発生し無いことを確認した. 研究成果の産業界での応用を期待し,一体構造空電ハイブリッド直動アクチュエータの技術を紹介する解説論文を執筆した.
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