研究課題/領域番号 |
26540149
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
川上 愛 関西学院大学, 理工学部, 受託研究員 (70722007)
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研究分担者 |
岡田 浩之 玉川大学, 工学部, 教授 (10349326)
片平 建史 関西学院大学, 理工学部, 講師 (40642129)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 悲しい音楽 / 心地よさ / メタ認知 / 感情 / 共感性 |
研究実績の概要 |
今年度は、初年度に小学生を対象として実施した集団実験の結果を一般化することを目的として、大学生の実験参加者を対象に音楽聴取実験を実施した。特に、悲しい音楽に対する感情反応や選好を媒介する様々な個人特性の検討を試みた。 本研究内容に基づく業績として、国際会議にて2件の発表を行った。1件目の発表は、小学生のデータと本年度に新たに取得した大学生のデータを比較し、悲しい音楽への感情反応に対する共感特性の影響に発達による違いが見られるかどうかを検討したものであった。結果として、小学生でポジティブな感情の生起に「視点取得」が寄与したが、大学生のグループではそれに加えて「共感的関心」の寄与も見られたことを報告した。2件目の発表は、個人特性としてBig Five性格特性に着目し、音楽への感情反応との関係を検討した結果を報告した。特筆すべき内容としては、Big Five性格特性の側面の一つである「経験への開放性」が悲しい音楽に対するポジティブな感情体験と関連することが明らかとなった。今後の研究に対する示唆としては、共感特性の効果を検討する際に考慮すべき変数として分析に含める必要性が考えられた。 全体として、悲しい音楽に対するポジティブな感情体験に対し、発達段階を越えて共感特性が寄与していることが本年度の研究より明らかとなった。この結果から、悲しい音楽への快の反応にどのような情動の調整機構が寄与しているかを明らかにする上で、大きな示唆が得られたと言える。
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