| 研究課題/領域番号 |
26540158
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| 研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
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研究代表者 |
石本 志高 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (30391858)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 動力学モデル / 器官形態形成 / 粘弾性 / コンピュータシミュレーション / 生体情報 / 生体工学 / 数理生物学 / 発生生物学 |
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| 研究実績の概要 |
研究計画にある通り、Drosophila 囲蛹殻形成後１５ｈ～３３ｈの期間中にヒンジ部の収縮と周縁部の応力が集中していると考えた翅形成力学モデルを定式化した。これは、翅の外形が主に縁部の固さによって規定され、ヒンジ部が収縮することによって固い縁部を曲げ、翅の形態を形成する力学モデルである。このモデルは、ヒンジの収縮力と縁部における固さの分布が与えられれば形態を算出できるモデルであり、逆に形態を与えれば、固さの分布が収縮力との比として算出できるものとなっている。この“相対的固さ”の分布を、連携研究者の杉村氏（京都大）提供による実験画像より算出し、力学モデルと共に学会にて口頭発表した[1]。またさらに、翅内部に二次元的な張力が存在する場合にまでモデルを拡張する予備研究を行った（未発表）。
本研究は、器官サイズの粘弾性に着目した動力学数理モデルの構築を目指したものであるが、個々の上皮細胞のもつ力学装置が粘弾性にどのように反映されるかが不明瞭なままである。連続体的定式化に先立ち、実験との有機的相乗的発展を図るため、この関係を定量的に示すことのできる理論モデルの構築を試みた。具体的には、細胞内の圧力、細胞境界の張力等を考慮して、細胞頂点モデルの細胞境界に曲率を導入した上皮組織動力学モデルを構築した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
１．当初計画されていた通り、平成２６年度においてDrosophila囲蛹殻形成後の翅の形態に関する数理モデルの研究を行い、さらに連携研究者から提供いただいた実験画像を元に固さ分布の算出を行った。また、外形をひも状弾性体、内部を均一な粘弾性体とする動力学モデルに関して、同種の研究を推進しているフランス・キュリー研の研究交流者と議論を行い、モデルの定式化を進めている。これらは当初予定されていたものに加えて、実験との比較を含み、計画よりも若干進展していると言える。
２．当初は明に予定していなかった研究として、細胞境界に曲率を導入した細胞頂点モデルを構築した。これは、個々細胞の圧力や、侵襲的操作で測定可能な細胞境界の張力などから、数百細胞レベルの粘弾性を再現するモデルであり、本研究の目指す器官レベルの粘弾性連続体動力学モデルの構築に必須の情報を与えるものである。構築したモデルをベースに各種数値シミュレーションを実行し、Drosophila の成虫原基を再現するパラメータを同定した。この研究結果を論文にまとめ平成２６年度１１月に出版した。この点に関して大幅な進展を見た。
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| 今後の研究の推進方策 |
現在、上記「達成度１」のDrosophila翅形成力学モデルに関して論文をまとめている最中であり、また、翅内部を均一の粘性流体として扱い張力を与えたモデルをとりまとめ、単一論文として発表する予定である。連携研究者の実験進捗状況にも依存するが、平成２７年度中にDrosophila翅周縁部の固さ分布をエピジェネティックに改変した実験結果をまとめ、平成２８年度初頭を目安に論文投稿する予定である。
上記「達成度２」で言及した動力学モデルをより洗練させ、Drosophila 成虫原基や蛹期の翅内部の上皮組織の粘弾性を、数値シミュレーションにより見積り、これらの計算結果を踏まえて、数時間程度の時間スケールにおいて変化する粘弾性体の連続体的定式化を行い、論文発表を行う。また、上述の連携研究者による実験結果と合わせて、より現実的なモデルへと洗練させる。
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| 備考 |
個人ページにて、論文発表情報のみ簡易的に記載。研究内容の紹介は次年度以降、順次作成予定。
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