研究課題
Drosophila 翅外形をひも状曲げ弾性体とした翅形成力学モデルを定式化した。これは、翅外形が主に縁部の固さによって規定される力学モデルである。逆に形態を与えれば相対的な固さ分布も算出でき、杉村氏(京都大)と共に実験画像より算出した。また、内部を均一な粘弾性体とする動力学モデルの定式化を行った。翅内部に一定の圧力・張力を与えるモデルである。これに基づき、張力ありの状況で特徴的な、内側にくぼんだ翅外形の解を例示し、その条件を整理した。最終年度は、翅外形モデルを他の昆虫に拡張し、固さ分布の算出および、内部を細胞頂点モデルに置き換えた混合モデルを構築し、これらの結果を論文誌に投稿した。本研究は、器官サイズの粘弾性に着目した動力学数理モデルの構築を目指したものである。細胞内力学装置による形態形成は、器官サイズのパターン形成を含み、この力学装置を実装した多細胞モデルは本研究の目的と合致する。細胞頂点モデルに細胞内圧力、細胞境界張力、細胞境界曲率を導入した上皮組織動力学モデルを構築した。これを基礎に富樫氏(神戸大医)らと共にマウス嗅上皮の形態形成における組織パターンの研究を行った。マウス嗅上皮における接着性分子は力学装置でありミクロな粘弾性そのものである。これらの役割を生物学的および動力学的に解明し、当該組織パターン形成の基礎メカニズムを明らかにした。最終年度は、産後の形態形成を視野に入れた予備研究を行った。また上記とは別に、実際のマウス歯牙(粘弾性体)の形成において変形を定量化する研究を辻氏(理研)らと行い、論文を出版した。これらの結果は、比較的少ない侵襲的操作から、器官・組織の粘弾性情報の測定・推定を可能とし、生命情報学において重要な意義を持ち、またこの結果より幾つかのメカニズム解明につながり、生体をひもとく上での重要な知見となった。
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PLoS ONE
巻: 11 ページ: 1-20
10.1371/journal.pone.0161336
http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~yukitaka.ishimoto/
https://www.researchgate.net/profile/Yukitaka_Ishimoto/publications
http://www.akita-pu.ac.jp/stic/souran/scholar/detail.php?id=308