研究課題/領域番号 |
26540168
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 佳苗 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (60334570)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 読書興味 / 読書プログラム / 幼児 / 図書館 / 評価 |
研究実績の概要 |
本研究は、幼児を対象として、読書などへの関心を高めるための「ぬいぐるみのとしょかんおとまり会」のプログラムを検討し、その実践と評価を行うことを目的としている。 2016年度には、茨城県内の幼稚園・保育園計5園に通う幼児96名を対象として、「ぬいぐるみのとしょかんおとまり会」の実践と評価を行った。本研究では、2014年度および2015年度の公共図書館での実践と評価の結果に基づいて、従来のプログラムとは異なり、ぬいぐるみを初日にあずかり、最終日におはなし会と参加者全員でのふりかえりを行い、ぬいぐるみが選んでくれた絵本やぬいぐるみが図書館で活動する写真を渡すというプログラムを実施した。 「ぬいぐるみのとしょかんおとまり会」への参加が幼児や保護者の読書や図書館への関心を高めるかを検討するために、「ぬいぐるみのとしょかんおとまり会」の実施群と対照群を設定し、幼児の保護者に対してぬいぐるみを預かる前(事前質問紙)、おはなし会の約4週間後(事後質問紙)に質問紙への回答を依頼した。おはなし会の実施直後には「ぬいぐるみのとしょかんおとまり会」の感想についても尋ねた。 事後質問紙と事前質問紙の差得点を分析した結果、保育園に通う幼児と保護者では、「ぬいぐるみのとしょかんおとまり会」の実施群のほうが、幼児が図書館の話をする頻度や、保護者が図書館で幼児のために借りる本の冊数が多くなることなどが示された。また、「ぬいぐるみのとしょかんおとまり会」の感想の内容を分析した結果、幼児はぬいぐるみが選んだ絵本やぬいぐるみの写真に高い関心を示し、2014年度および2015年度の公共図書館での実践と同様の傾向が見られた。一方、おはなし会直後の幼児の図書館への関心は低い傾向が見られ、幼稚園や保育園での実践においては、ぬいぐるみの活動の場が図書館であることを幼児により分かりやすく伝える工夫が必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今後、より詳細な分析が必要であるが、予定していた通り、複数の幼稚園と保育園において、「ぬいぐるみのとしょかんおとまり会」の実施群と対照群を設定し、「ぬいぐるみのとしょかんおとまり会」への参加が幼児や保護者の読書や図書館への関心を高めるかを検討することができたことから、おおむね順調に進展していると言える。 また、2015年度までの研究成果については、公共図書館における「ぬいぐるみのとしょかんおとまり会」の実践と評価に関する論文が学術雑誌に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
幼稚園と保育園における「ぬいぐるみのとしょかんおとまり会」のプログラムの実践と評価によって得たデータに対してより詳細な分析を行い、研究成果の公開を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由は、2016年度に得たデータに対して、より詳細な分析を実施した後、研究成果の公開を行うこととしたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度に得たデータの追加分析を実施し、学会発表や論文投稿を行う。
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