初年度は、普通人とエキセントリック人にアンケートとインタビューを行ない、複数の領域で斬新なアイディアの発想を求め、その発想方略とパーソナリティも尋ねるとともに、情報科学の分類・推論・学習・仮説・探索などのアルゴリズムを日常用語に言い換え、人々に理解できる形で尋ねる事で、有効な発想方略をよりシステマチックに抽出するという予定で、アンケートの設計を進めた。その過程で、エキセントリックさと創造性は(当初暗黙に想定していたように)いくつかの次元に分かれるというよりは、基本的にはそれぞれ1次元であるという可能性を仮説として持つに至った。そこで第2年度は、そのような仮説に基づき、アンケートの直後にその詳細と商品アイディアについてインタビューを同時に行う方法を設計した。その結果、エキセントリックさにかかわる創造性はほぼ1次元に収れんし、かつその創造性をもたらす発想方略は多次元であり、創造的な人は多くの発想方略を適宜使い分けているという事例が多数を占めた。そのため、エキセントリックと創造性について、やはり当初の想定のように多次元の可能性も捨てきれないのか、あるいはサンプル数が少ないために創造性は1次元に収れんしなかったのかを、検討する必要が生じた。ついては、今年度はインタビューよりも多数のサンプルを少ない費用で得るため、アンケートの直後にアイディアを文書で記載することでインタビューに代替するサンプル調査(アイディア文書調査)を実施した。その結果、「エキセントリックさと創造性はどちらも別個の1次元に収れんし、創造的な人は発想方略を使い分けているというよりは、むしろ同時に(同一の発想プロセスにおいて)多数の発想方略を併用している。」という非常に興味深い発見を得られた。最終年度は、エキセントリックさと創造性が協調的に作用する条件を半構造化インタビュー等により検討し、メタ認知の二要因が示唆された。
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