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2014 年度 実施状況報告書

周縁地域における携帯電話を利用したリテラシー獲得支援

研究課題

研究課題/領域番号 26540179
研究機関弘前大学

研究代表者

羽渕 一代  弘前大学, 人文学部, 准教授 (70333474)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード周縁地域 / メディア / ケニア / 牧畜民 / 携帯電話 / リテラシー
研究実績の概要

本研究の初年度として、調査対象校の選定をおこなってきた。ケニア携帯電話の利用状況を基礎づける情報・通信政策、メディア・セッティングの形式、携帯電話以外のパーソナルメディアの利用状況などをまず確認したところ、2012年において、携帯電話企業の一つであったYuが破産し、サービス提供がなくなっていた。また、ナイロビのような都市部と周縁地域の利用率の格差の解消は進んでいなかった。ケニア北西部のトゥルカナに赴き、ロドワにある A.I.C. Nakuluja Academy Lodwar 小学校で小学生に、ロチェリエドメ小学校ではPTAに聞き取りをおこなった。
2014年は、ロチェリエドメの干ばつの状況による飢餓状態も回復しており、牧畜民にとって、それほど悪い生活状況ではなかった。これは日常的な生活という観点からみれば、非常に良いと判断できる。しかし、自然環境の改善により、学校教育に対する必要性の意識は低減しているともいえる。したがって、子どもたちの生活は、牧童としての、ある意味で伝統的な生活を余儀なくされている。健康であれば、学校教育を受けず、伝統的な牧畜の技法を習得するような労働に従事しなくてはならない状態にある。こういった状況の中で、メディア利用については、大人になり現金を獲得しなければ可能ではない。
いっぽうで、学校教育を受けていない牧畜を生業とする成人がメディア利用をおこない、スワヒリ語や英語を獲得している状況が確認されている。今後、子どもだけでなく、成人のメディア利用にかかるリテラシー獲得状況についても調査目的に加えていく予定である。
ただし、大規模油田開発にかかわる政治状況は不安定になっており、調査地へのアクセスに制限がかかっている。デモや紛争が頻発しており、調査可能性について不安がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

学内の組織改編に伴い、学内業務の都合がつかず、予定していた調査期間を短縮したことと、ケニアのメディア政策について変動があり、調査許可証などの取得について、手間取っているため。

今後の研究の推進方策

今後、トゥルカナにおけるデータの収集に関しては、さらに長期の調査期間を確保したうえで、参与観察、利用者へのインテンシヴ・インタビューをおこなうことによってデータ収集をおこなう予定である。
対象者のリテラシーの問題と、地域状況による理由から、日本を含む東アジアと同様の(郵送や留め置き法を利用した量的調査などの)方法で調査研究を進めることは出来ない。したがって、方法は人類学的手法を援用しておこなう必要がある。前回の予備調査において、調査のためのベースメントの準備について、調査地の協力者に協力を要請できた。ただし、調査地に近代的な建築物はないため、テントなど野外での生活を整備する必要がある。
本調査地はケニアにおいても比較的治安の安定しており、調査に問題はない。ただし、今回の調査で判明したことであるが、調査地に向かう経路における紛争は激化しており、アクセスの問題が解決した段階において、調査を行う予定である。たとえば、ナイロビからロドワ(トゥルカナ県庁所在地)まで飛行機で行くことが可能であるが現地において車を調達し、ドライバーを雇い、場合によってはエスコート(強盗などの対策としてセキュリティのため)を雇う必要がある。またこの地域では輸送に関する専門的な企業や職種はないので、準備に相当日数が必要である。もし、予定通り調査を進める場合には、電力供給などの生活設備のない地域であるため、調査資材が現地にほとんどないため、持参するためには車を利用する必要がある。これらの課題を解決できるかどうか、判断しつつ調査を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

学内業務が多忙であるため、調査期間を短縮したことによる。

次年度使用額の使用計画

次年度に達成できなかった調査を行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Mobile PHone Usage in Turkana, Kenya2014

    • 著者名/発表者名
      Ichiyo HABUCHI
    • 雑誌名

      The Routledge Companion to Mobile Media

      巻: なし ページ: 475-487

    • 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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