28年度は、27年度に実施した試作システム評価実験に基づき、オープンソースのコンテンツマネジメントシステムDrupalによる試作ソーシャルネットワークサービスに対する機能拡張を行なった。試作システムの機能拡張におけるモデルシナリオとしては、前年度同様、「レゴ・マインドストーム」を用いた療育プログラムを採用し、ビデオ投稿等の機能に加えて、保護者や療育者によるスーパバイザ機能などの試作実装を進めた。 また、世界規模で活動を展開する自閉症支援組織(Autism Speaks)の定期会合に参加して、ICTによる自閉症児支援に関する全般的な情報収集をおこなった。 なお、28年度実施を予定していた再実験については、協力者の確保がうまく進まず実施の見通しが立たなかったため、27年度に行った利用実験の内容に対する詳細なレビューを実施することとした。この実験では、対象として4名の児童(健常者を含む)と保護者に参加してもらい、ファシリテータ1名(本学博士研究員)とティーチングアシスタント2名(本学博士前期課程学生)による制作指導を4回にわたり実施し、途中経過の報告や作品紹介ムービーの投稿などのタスクを行わせたが、その際に有効であったと思われるシステムの機能項目や、逆に不十分であったと思われる項目について、インタビューを主体にした定性的な分析を行なった。本評価結果は今後継続的にシステム拡張を行なう上での指針として有効活用される予定である。
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