今年度は、カスタマイズ用サーバおよびテスト用サーバの開発をすすめるとともに、アニメーション表示の実装例として、電気分解実験および燃料電池実験用の理科教材をモデルとしたアプリケーション用のユーザインタフェースの開発を主に行った。この教材は電気分解の電源として手回し発電機を利用することもできるが、こうした操作手順を擬似的にデバイス上で行えるようにした。また誤った操作を行った場合には、警告するような工夫も加えた。これらの成果は、2018年3月21日~23日に日本大学船橋キャンパスで開催された日本化学会 第98春季年会(2018)にて発表した。
本研究では、すでに準備段階で試作していたプロトタイプのアプリケーションを基に、新しいOSやプログラム言語に対応させるためのソフトウェアの見直しを行い、より多くの種類の実験に対応できるように、実験操作を分類してユーザインタフェースの拡張を行っていった。研究成果はその都度国際会議等で発表し、iPad実機を使ったデモで評価してもらうなどして、研究遂行の参考とした。あわせて、教員が簡単に実験内容を変更できるように、アプリケーションのカスタマイズを行うサーバを考案し、webアプリケーションとして一部の機能を実装した。さらにテスト段階での評価版アプリケーションを登録ユーザに配布できるサーバも構築した。本研究のアプリケーションによる学習は、誤った手順によってどういったことが起きるのか、なぜそうなるのかを知ることができるため、実際の教材による実験を行う前、あるいは行った後の補助教材として有用である。
今後の展開としては、アプリケーションのさらなる検証を行うこと、カスタマイズのための実験操作のインタフェースの汎用化を完成させること、カスタマイズ用サーバの本格運用などがあげられる。
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