研究課題/領域番号 |
26550003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
春日 郁朗 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20431794)
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研究分担者 |
栗栖 太 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30312979)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 微生物ループ / 細菌増殖 / 湖沼 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、湖沼微生物ループで活発に増殖している細菌群を同定する方法の開発に取り組んだ。印旛沼の湖水を用いて、原生生物による捕食圧をろ過で除外すると共に、無菌湖水で試料を希釈することで細菌あたりの溶存有機物の利用可能量を増やし、湖水中の細菌増殖現象を可視化することに成功した。フローサイトメーターによる分析の結果、Low nucleic acid content cellsと比較して、High nucleic acid content cellsの増殖活性の方が顕著に高いことが明らかになった。増殖前後の細菌群集構造を16S rRNA遺伝子を対象としたアンプリコンシーケンシングで解析したところ、元の湖水ではActinomycetalesの存在比率が高かったのに対して、増殖後の試料ではFlavobacterialesやBurkholderialesの比率が増加することが確認された。このことは、微生物ループにおいて活発に増殖する細菌群は、活発に捕食もされるため、湖水中の見かけの存在比率は小さくなっていることを示唆している。異なる起源の溶存有機物として、印旛沼の流入河川、底泥溶出水、藍藻産生有機物を用いて、印旛沼由来の細菌群を培養した。その結果、溶存有機物の種類によって、増殖する細菌群組成は異なり、増殖細菌群を指標とすることで起源の異なる溶存有機物を判別できることが確認された。採水時の湖水中で増殖している細菌群の組成を評価すると、河川水中の溶存有機物を利用して増殖する細菌群の組成と類似していることが明らかになった。この結果より、採水時の印旛沼では流入河川由来の溶存有機物が微生物ループに流入していたことが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
湖沼微生物ループで活発に増殖する細菌群の可視化、起源の異なる有機物に対する細菌群の応答の差異については、ほぼ計画に沿った成果を得ることができた。しかし、メタトランスクリプトーム解析については予備調査に終わり、実際の実験に着手するまでには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、26年度に確立した手法により、印旛沼の湖沼微生物ループに関与する細菌群の組成について更なる情報を蓄積する。具体的には、定期的に湖水調査を継続することで、湖沼への溶存有機物の負荷源の季節変化が微生物ループ構造に及ぼす影響を評価する。また、印旛沼以外の湖沼にも本手法を展開し、微生物ループ構造の湖沼間比較を試みる。当初は集積培養系を湖水に添加することを予定していたが、増殖活性の高い細菌群を可視化できる方法を確立できたため、基本的には湖水中の細菌群の増殖活性を直接評価する方針とする。また、26年度に着手できなかったメタトランスクリプトーム解析にも取り組み、増殖活性を有する細菌群の機能特性についても知見を得ることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
微生物ループで増殖する細菌群の特定方法の確立に時間を要し、湖水のサンプリング回数が当初計画よりも少なくなったため、また、メタトランスクリプトーム解析の検討に年度内中に着手できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度実施できなかった湖水のサンプリング及びその解析に充当すると共に、メタトランスクリプトーム解析の試行に向けて活用する。
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