自然界で脱窒とアナモックスの相対的な強度を,自然安定同位体比情報を用いて解析するためには,同位体分別係数の情報が必要である。しかし,アナモックス反応における同位体分別についてはまだ1例しか報告されておらず,さらにそこでは窒素逆同位体分別というきわめて珍しい現象が報告されている。そこで本研究では,アナモックスを含む活性汚泥の室内培養によって,窒素同位体比,そして世界初である酸素同位体比の測定を試みた。本年度は培養系を再度立ち上げ,さらに培地の酸素同位体に変化をつけることで酸素同位体分別についての検討を行った。測定結果はほぼ昨年度と同様の傾向を示していたが,亜硝酸イオンおよび硝酸イオンの酸素同位体比は培地の酸素同位体比に大変大きな影響を受けることが示唆される結果を得た。この結果は予想外の結果であり,データ解析を進めているが,現在の所決定的な理由付けまで至っておらず,そのため論文化が遅れてしまっている。あと半年をめどに追加実験を行い,完璧な解析には到らなくとも,なんとか可及的速やかに論文としての情報公開へとつなげて行く所存である。
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